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小日向京のひねもす文房具|第七十回「アシュフォード エレン マイクロ5」


小日向京のひねもす文房具|第七十回「アシュフォード エレン マイクロ5」

今年もさまざまな文具との出会いがありました。あと2週間ばかり残っているので今年の文具巡り会いを過去形にするのはまだ早いですが、ここはいったん過去形にしたいと思います。
そうしないと、うっかりまた新たな文具と出会ってしまうので!!
そんななか、もしもまだ手にされていないようなら、ぜひ出会っていただきたいのが今回話題にするアシュフォードのシステム手帳「エレン」です。

「エレン」は、今年30周年を迎えたアシュフォードが全国を縦断して「アシュフォードラウンジ」と銘打ち行ったイベントに合わせて発売となりました。
文具情報誌「趣味の文具箱」清水編集長の発案による、アシュフォード30周年記念モデルのひとつです。革は「ルガード」シリーズに使われる、ベルギーのタンナー・マズール社によるタンニン鞣しが施された牛革(ステア)。リングは8ミリ径です。
大きさは、縦117mm×横71mmの、カードや名刺に近しい小型サイズ。さらに「システム手帳はリフィルの大きさにたいしてカバーが大きすぎ」と感じていた清水編集長が、縦横ともに限界までリフィル用紙のサイズに近づけることを提案しました。

小日向京のひねもす文房具|第七十回「アシュフォード エレン マイクロ5」

リフィルを挟むと、このぎりぎり感。システム手帳は開閉リング式バインダーなので、その金具を固定し、開閉をしやすくするため上下にいくぶんかのスペースは必要とします。
しかし小口側は「やりたいぶんだけリフィルぎりぎり」。モレスキンなどのように、硬い表紙が中の用紙と同じサイズで仕上げられているものは、紙の束感がいっそう際立ちますよね。その魅力がエレンにはあります。
マイクロ5(ミニ5とも言われるサイズ)には用紙リフィルの他にポケットリフィルもありますが、それらをエレンに綴じると小口からはみ出ます。はみ出たらはみ出たで目立ち、アクセスも早くなりますが、ここはひとつ紙リフィルだけを綴じて紙束を感じたい!
この紙束感が、あたかも革装の小型辞典のように思えて、「自分だけの辞書」を作る楽しみが増してきます。

小日向京のひねもす文房具|第七十回「アシュフォード エレン マイクロ5」

開くと手のひらサイズにおさまり、書き込みしやすく、机のない場面でも気軽に「書こうという気分」が高まります。この「書こうという気分」というものが書き留めておきたい場面には重要なことで、何かものを書き記すべき時に「ここに紙とペンがある」だけではまだ人は書く方向に向かっておらず、「書いておきますかね。よっこらしょ」と紙とペンを出せば書くわけですが、この「書こうという気分」があると、とにかくいつでも「どこかに書いておくべき案件はないのか! 早う早う!」と思い、スタンバイ状態が保たれます。

小日向京のひねもす文房具|第七十回「アシュフォード エレン マイクロ5」

そしてこちらはなんでも書いて自分だけの辞書を作りたくなっていますから、新たな調べものをしてでも何か書き記しておきたくなります。
上の写真の書き込みは「手ぬぐい」にまつわる言葉を集めてみたものです。
いや全然その時に調べる必要はなかったのですが…。
手に取って、書いて、読み返して、また手に取るのが楽しくて仕方ない!

小日向京のひねもす文房具|第七十回「アシュフォード エレン マイクロ5」

何かを書いたら、付箋に1〜2文字でキーワードを記し、貼って見出しにします。
紙束のなかでぴょんぴょん出ているこの付箋の光景もまた愛らしく。また手に取って開きたくなるという相乗効果。
ああ、ときめきが止まらない。

エレンにはマイクロ5の他に、A5サイズ・ミニ6穴サイズもあって、いずれも薄型でパリッとしており、紙の束感を存分に楽しめる作りとなっています。
聞くところによると、30周年記念モデルは今年2016年を過ぎると生産されないのだとか。
なんでも「30周年の刻印が入っているから」なのだそうですが、こちらとしては構わないよ?! という心境。それはそれとして入っていて良いから、エレンをずっと作り続けていただきたい。
だってミニ6穴もA5も手元に置いておきたいのだもの!

文具との出会いの機会は、この年末が迫るなか、まだまだふんだんに残されているようです。

小日向 京(こひなた きょう)

文具ライター。
文字を書くことや文房具について著述している。
『趣味の文具箱』(エイ出版社刊)に「手書き人」「旅は文具を連れて」を連載中。
著書に『考える鉛筆』(アスペクト刊)がある。
「飾り原稿用紙」(あたぼうステーショナリー)の監修など、文具アドバイザーとしても活動している。

小日向京のひねもす文房具

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