小日向京のひねもす文房具|第百三十九回「NAGASAWA 136周年記念万年筆 神戸風景」

第百三十九回「NAGASAWA 136周年記念万年筆 神戸風景」

ナガサワ文具センターの創業日・5月15日を迎えるにあたって、今年も周年記念オリジナル万年筆が発売となります。
2018年の136周年記念万年筆は、なんと中屋万年筆製!!
これはまたスペシャルな逸品であることは間違いなしで…さっそく詳細を見てまいりましょう。

第百三十九回「NAGASAWA 136周年記念万年筆 神戸風景」

まずは外観です。軸はライターポータブルの黒溜塗りです。エボナイトに漆の軸は、中屋万年筆の定番にして最強モデル。「溜塗り」とは漆塗りの仕上げ方法で、中塗りに朱の漆を使い、上塗りには半透明の朱合漆(しゅあいうるし)と呼ばれる漆を塗って、表面を磨き艶を出すというもの。この工程によって漆の溜まり具合が透けて見え、特にキャップと胴軸の境目やペン軸まわりに表情が生まれます。

第百三十九回「NAGASAWA 136周年記念万年筆 神戸風景」

今回のオリジナル万年筆の大注目点は、なんといってもこの「神戸風景」の廻り止めです。あのナガサワ文具センターオリジナルグッズで目する神戸の海と山の街並み模様が、なんと豪華な立体に! そして素材はスターリングシルバーという贅沢。その存在感に圧倒されます。
ポートタワーは金色に輝き、眺めていて飽きない廻り止めです。
万年筆が転がるのを防ぐために付けられる廻り止めではありますが、こんなに素敵な廻り止めなら「この廻り止めがいい位置に止まる廻り止め」がもうひとつ欲しい! と思うほど。

第百三十九回「NAGASAWA 136周年記念万年筆 神戸風景」

ペン先はEF(極細)・F(細字)・SF(細軟)・M(中字)・SM(中軟)・B(太字)・C(極太)の7種が用意され、14金にロジウムコーティングされたシルバー色のペン先で、上の写真はSF(細軟)です。
廻り止めの下部には「NAGASAWA 136th Anniversary」+シリアルナンバーの刻印が。

第百三十九回「NAGASAWA 136周年記念万年筆 神戸風景」

そして今回もうひとつの大注目点が、付属する蒔絵コンバーターです。
神戸の花火とその花火の光を浴びるポートタワーが描かれている!
このポートタワー沿いで行われる花火は、毎年8月第1土曜日に開催される「みなとこうべ海上花火大会」で、神戸の夏に欠かせない風物詩です。ナガサワ文具センターのスタッフも、この花火を観るために例年がんばって良い場所を確保するのだとか。廻り止めに加えて、こちらのコンバーターもまた「神戸風景」のひとつなのですね。

第百三十九回「NAGASAWA 136周年記念万年筆 神戸風景」

細軟のペン先で書いたところはこのように。インクはKobe INK物語の第50集、京町レジェンドブルーを使いました。
用紙は神戸つながりで、神戸派計画のグラフィーロ・一筆箋を使っています。

ああ、書き味幸せ!!

中屋万年筆の素晴らしいところは、
◆ そこにあるだけで心奪われる美しい佇まい
◆ 漆軸を手にした時、肌になめらかに吸いつくようなしっとりとした感触
◆ キャップのネジの回し心地
◆ キレがあり、かつやわらかなペン先
◆ みずみずしいインクフローと手に伝わる漆のつややかさとが文字に融合されていく感覚
◆ 線のとめ、はね、はらい(和文に限らない)が余韻のように残る爽快感
◆ キャップを閉めた時に漆と漆が触れ合う音
◆ 書き終えたあとにもしばらく眺めていたくなる充実感
といった点にあると感じます。

様々な工程を経て手作りで仕上げられる中屋万年筆ですから、今回のオリジナル万年筆は4月末・5月末・6月末と時期を分けての生産となるそう。総生産数は60本です。
ぜひ店頭で実物を御覧になられてみてください。
良質文具と心ときめくオリジナルアイテムを私たちに提供してくれるナガサワ文具センターが、これからもますます繁盛することを願いつつ、この貴重な万年筆を手にいたしましょう!

小日向 京(こひなた きょう)

文具ライター。

文字を書くことや文房具について著述している。

『趣味の文具箱』(エイ出版社刊)に「手書き人」「旅は文具を連れて」を連載中。

著書に『考える鉛筆』(アスペクト刊)がある。

「飾り原稿用紙」(あたぼうステーショナリー)の監修など、文具アドバイザーとしても活動している。

小日向京のひねもす文房具





第百三十九回「NAGASAWA 136周年記念万年筆 神戸風景」