この度の能登半島地震により亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
また、被災地の一日も早い復旧を心よりお祈り申しあげます。

小日向京のひねもす文房具

小日向京のひねもす文房具|第九十回「エヌティー NTカッター A型」

小日向京のひねもす文房具|第九十回「エヌティー NTカッター A型」

刃に等間隔で溝がつけてあり、切れ味が劣化したら折って使うカッターナイフ。
カッターナイフの名称は和製英語と言われ、英語圏の文具カテゴリーでは「cutting knife」とか「snap-off knife」などと称されているものが目にとまりますが、なかには「cutter knife」という表記もあれば「cutter」というものまで見つかるこのごろ。
やっぱりこれはカッターナイフやカッターと呼ぶのがしっくりくるよね! と嬉しくなります。
それもそのはず、この刃を折るタイプのカッターは日本で発明された道具なのでした。

黄色がトレードマークのカッター「オルファ」が、板チョコにヒントを得て「折る刃式」のカッターナイフを考案したのが1956(昭和31)年のこと。この刃を製造したのが現在「NTカッター」で知られるエヌティーで、オルファとエヌティーはともに大阪の企業です。
エヌティーは1953(昭和28)年に「日本転写紙株式会社」として創業。転写紙とは印刷で文字や図を転写するための紙で、その製造を行っていたわけですが、転写紙を切断するさいに用いるカミソリを長持ちさせるため刃に工夫を重ねた結果、そちらのほうも作るようになったという変わった経緯を持ちます。
転写紙の製造販売は1986(昭和61)年まで続き、1988(昭和63)年に「エヌティー株式会社」と社名を変更しました。旧称の頭文字「日本(N)/転写紙(T)」を取って「NT」としたのですね。

さてそのNTカッター、数々あるシリーズのなかでも私たちの文具作業には冒頭写真の「A型」がポピュラーなもののひとつです。
握りやすい形状と切れ味冴える刃、そしてメカニックな要素の高いクールなデザイン。小日向もNTカッターを日々使います。
これら3つの大好きポイントを、もう一度上の写真を挙げながら書きましょう。

1997(平成9)年発売、アルミダイキャスト製Gシリーズの「A-300GR」▽

小日向京のひねもす文房具|第九十回「エヌティー NTカッター A型」

重みのある金属ボディーが持ち味抜群。下部の凹凸もグリップ感を高めてくれます。ガンメタ色もかっこいい。いつも身辺に置き、机で何か切るものがあるとまず手にするのがこちら。

1972(昭和47)年発売、アイボリー色の「A-300」▽

小日向京のひねもす文房具|第九十回「エヌティー NTカッター A型」

A型カッターの基本型。発売当初からデザインはマイナーチェンジを重ねているものの、いつまでも色あせない魅力にあふれています。このアイボリー+黒+シルバーの配色がまさにセンス良し!
小日向は左手で切る時用に、刃を裏返して「LEFT」側へくるようにセットしています。
カッターの刃は両刃ですが、この向きにすると表側が左手の内側になり、スライド部品を親指の腹で押さえられて切りやすくなるのです。

1993(平成5)年発売、色みがポップな「AR-1」▽

小日向京のひねもす文房具|第九十回「エヌティー NTカッター A型」

気分の明るくなる愉快な色づかい。ボディーはいくぶん幅広な左右対称デザインで、上の2つに比べて薄型をしています。刃先に向かってすべり止めのギザギザが付いているため、ペンのような「筆記具持ち」をする際のホールド感も上々です。ボディーカラーには他にブルーもあって、今後蛍光色など出ないものかと切望。さらにギンギンに攻めてもらいたいところです。

ああ、なんて素敵なんでしょう! 心ときめきますわ…。
これらにはすべて同じ「A型0.38mm」の刃をセットでき、切れ味が劣化するたびにカッター後ろの部品を外してポキポキ折っていくことになりますが、複数本持っていると「部品を外さなくても、他のカッターの後ろを使って折ることができる」のも良いところ。
…それだけの用途で複数本を持っているわけではなく、切るものの状況や気分で使い分けるわけですが……いや正直を申して、あまりにNTカッターが好きすぎてボディー違いで近くに置いておきたくなるのです!
これはもはや「カランダッシュ849やエクリドールのボールペン軸に、ゴリアット芯を挿し替えて使う」のと似た感覚。何本あっても良いものは、優れたものだということです。

刃を使い切ってしまった時に備えて、替刃も用意しておきましょう。

小日向京のひねもす文房具|第九十回「エヌティー NTカッター A型」

替刃10枚がブルーのケースに入った、BA-160。これもまたスタイリッシュなケースですよね。それでいてシンプル。エヌティーらしさが光っています。
刃をくるんである「さび防止ペーパーです」と書かれた紙もいい感じ…。
このケースは技ありで、

小日向京のひねもす文房具|第九十回「エヌティー NTカッター A型」

このようにして刃を折ることもできて、折った刃は中に収納される仕組み!
蓋を開ければ、まとめて刃屑をザザッと処分できます。机の引き出しに、しのばせておきたい一品です。

紙を切ったり、新聞記事を切り抜いたり、梱包を開けたり、商品タグを取ったり。カッターナイフを使う場面は一日のあらゆるところにあり、必携文具のひとつです。
自分好みのボディーを選びつつ、切れ味の良い毎日を過ごしましょう!

小日向 京(こひなた きょう)

文具ライター。
文字を書くことや文房具について著述している。
『趣味の文具箱』(エイ出版社刊)に「手書き人」「旅は文具を連れて」を連載中。
著書に『考える鉛筆』(アスペクト刊)がある。
「飾り原稿用紙」(あたぼうステーショナリー)の監修など、文具アドバイザーとしても活動している。

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