小日向京のひねもす文房具|第六十二回「A5サイズのクリップボード」

第六十二回「A5サイズのクリップボード」
ふだんのとりとめもない考えごとは、クリップボードへ紙を挟んだものに書いています。
そういう時のクリップボードはA5サイズです。なぜなら、自分の持ち歩く鞄(吉田カバン ポーター タンカー ショルダーバッグL)に横向きで入り、喫茶店などでテーブルに置いてもコンパクトにまとまり、電車の中や机のない講演会などでも幅広にならず持ちやすいからです。

以前はこの用途にノートを充てており、それはそれで重宝していたのですが、右手が動かなくなった時にノートを使うのにも苦労してしまい(書くほうよりも反対側の手で紙を押さえるのが難しかった)、色々考えてクリップボードに行き着いてからは、右手が動くようになってからもすっかり定着している次第です。

きっかけは、病院へ行った時に渡された記入用紙です。これがクリップボードに挟まれており、待合室のソファーで机がなくても書きやすく、そういえば展示会やイベントなどでもアンケートを書く時にクリップボードに挟んだものを渡してもらったりするな…と思い出して、これは日常に使うのにも向くのではないか? と模索しました。
 クリップボードはたいがいA4やB5サイズが多いものですが、近年A5サイズのものも増えています。A4判の紙を扱う機会が多い昨今、半分に折ればA5と相性も良いですし、上述のように何かと軽快に使えるので、売場へ行くと何か新しいA5のクリップボードはないかな…とチェックするようになりました。

冒頭写真は今のところのベストA5クリップボードで、セキセイの「クリップファイル 発泡美人」というものです。表紙があり、パタンと閉じて鞄に入れても中の用紙がシャキッとした姿を保ちます。

小日向京のひねもす文房具|第六十二回「A5サイズのクリップボード」

開くとこのように表紙の裏側にポケットが付いていて、紙片を仮置きできるようになっています。このポケットにはA5サイズまで入れても、表紙を閉じた時にクリップに当たりません。
また、表紙裏のボード部分を有効利用しようと、マスキングテープを仮貼りしています。これがかなりあなどれないほど便利! ちょっと即マステが要る…という時にここからちぎって使えるので、日頃何かの折にはがしたテープなども、貼っておいています。
しかしあらためて見るとずいぶんあちこち劣化しているような。テープも風化しているし、そろそろ見切りをつけなければ。
そのくらいよく使っているんだね、ということにいたしましょう。本当に毎日、持ち歩かない日はありません。

クリップボードは、中の用紙を1枚ずつ変えられるところも利点です。
ここに飾り原稿用紙を使う時には「いま桃雲流だったから、次は碧翡翠にしようかな」となるし、「インクの色を見たいから、グラフィーロにしてみよう」となったり、「コピーの裏紙があるから、それでしのごう」となったりすることもあります。
このところは、榛原の蛇腹便箋を使います。

小日向京のひねもす文房具|第六十二回「A5サイズのクリップボード」

蛇腹便箋はミシン目で切ると短冊状の紙になるもので、これを上の写真のように4つつなぎで切ります。そして半分に折りたたんでクリップボードにセット。
A5判よりいくぶん長辺が短く、写真の紙束の下からはみ出しているものがA5判です。

蛇腹便箋については第十回にも書いていますので御参照ください。
蛇腹便箋はあらかじめ折れ線がついているので折りやすく、また広げやすく、ミシン目は切りたい時には切れて「つながっていてほしい時には自然と破れてしまうことがない」ところが優れています。
急場にはこの紙で、人に渡すメッセージや手紙を書けるところも重宝しています。
様々な柄のものがあるので、こちらも他の紙同様に季節や気分に応じて柄を使い分けるのも楽しいです。

小日向京のひねもす文房具|第六十二回「A5サイズのクリップボード」

写真は万年筆で書いたところです。なんだかずいぶん乱雑な字をしていますが、どうも眠い時に書いたようで…その「情報」もまた記録されるのが手書きの良い点です。たとえばその時の血の流れ(が淀んでいたか、すっきりしていたか)までもが思い起こされ、文章の本意を計れるからです。

ある程度枚数を費やしたらクリップから外し、そのさいに「まだ必要なことが書いてある」紙があれば、それだけ残しておきます。そして新たな紙を投入。
あとから順番がわからなくならないように、書き始めには必ず日付と時刻を記します。

もしも手持ちのクリップボードに表紙がないようなら、一番上にプラスチックの下敷きやボール紙などを挟んでおくのも有効です。厚手のクリアホルダーを挟むのも一案ですね。
どこでも机代わりになってくれるクリップボード。これからも鞄の定番文具として使い続けたいと思います!

小日向 京(こひなた きょう)

文具ライター。
文字を書くことや文房具について著述している。
『趣味の文具箱』(エイ出版社刊)に「手書き人」「旅は文具を連れて」を連載中。
著書に『考える鉛筆』(アスペクト刊)がある。
「飾り原稿用紙」(あたぼうステーショナリー)の監修など、文具アドバイザーとしても活動している。

小日向京のひねもす文房具





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