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小日向京のひねもす文房具|第三十三回「プラチナ万年筆 #3776センチュリー 万年筆」


プラチナ万年筆 #3776センチュリー 万年筆

3月は、筆記具の買物が一年のうちでも多い月なのだと言われます。
なぜなら、卒業・入学・就職といった節目を迎える人に筆記具を贈る習慣があるためです。また、そうした転機に自ら新たな筆記具を用意するという人も多いことでしょう。

そして、文房具好きもまたこの月、どうも買物代がかさむようです。
卒業や入学や就職など、別にしていなくても。
3月から4月にかけて、なんら生活が変わらなくても!
街で卒業式を終えた袴姿の学生たちや、入社式を終えた真新しいスーツ姿の若者などを目にすると「ああ、門出だなあ」と爽やかな風が胸を通り過ぎ、「じゃ、今日は帰りに文房具でも買おうかな」と思う。何かつながりを欠いた思いつきに見えても、それは必然。
門出を迎えた人たちの運気に乗っかって、こちらもひとつ文房具で景気づけしたくなるのです。

さてその時に、何を選ぶか。手痛い出費は避けたいが、気分は上げたい。
何よりかけがえのない時間を、それとともに過ごしたい。
そうなるとぴったりくるのはやはり、プラチナ万年筆の#3776センチュリーなのではないでしょうか。
……もうお持ちでいらっしゃる? さもありなん、万年筆好きならまず押さえておきたくなる1本ですものね。そのようなかたは、2本目3本目に行かれるのもいかがでしょう。
なぜって、字幅や軸色を増やすごとに魅力も広がっていくのですから!

プラチナ万年筆 #3776センチュリー 万年筆

冒頭写真を含め、#3776センチュリーは上から「ブラックインブラック ロジウム」「ブルゴーニュ」「シャルトル・ブルー」です。これらの発売当初はゴールドコンビのみでしたが、のちに待望のシルバー色をしたロジウムフィニッシュ版がブラックインブラック、シャルトル・ブルーに登場しました。
キャップ内部には「スリップシール機構」と呼ばれる、インクを入れたままにしておいても乾燥を防いでくれるありがたい機能を搭載。顔料インクでも安心して使えることをうたっています。
「#3776」は富士山の標高・3776mを充てた番号で、その名の通りに日本一を銘打ったシリーズは書き味も極上。14金のペン先には、富士山をイメージした二重の稜線が刻まれています。

プラチナ万年筆 #3776センチュリー 万年筆

上の写真は、パーカーのブルーブラックインクで書きました。
この万年筆の素晴らしいところは、日本語を書く手にしっくりとなじむ筆運びのなめらかさです。
プラチナ万年筆のペン先特有の「シャープなキレ味のある硬さ」は存分に活かされながら、紙の上を流れるようにすべっていく筆感の良さには、誰しも虜になることでしょう。
その虜になる感覚は、夢のような幻のような…といったものとは異なり、現実の何ものかに魅入られて書くたびに心が整っていく、そのような予感をさせるものです。
心を研ぎ澄ませて仕事に使うのならぱその仕事に、心穏やかに考えごとを書くのならばその考えごとに、使途にかかわらず気持ちを集中させてくれる優れた万年筆なのです。

そして何より「字幅によって変化する書き心地」には目を見張るものがあります。
それぞれの描線を見るために、上の写真からもう少し近くに寄ってみましょう。

プラチナ万年筆 #3776センチュリー 万年筆

小日向の抱く、それぞれの書き味の違いは以下です。
《写真右》細字のF→紙に細い裂け目をつけるような気分でインク跡を残していく書き味。
《写真中央下》中字のM→筆圧と記述テンポに寄り添うようにペン先が流れていく書き味。
《写真左》太字のB→ペンポイントの丸みのなかに清涼感も含む、こっくりとした書き味。

プラチナ万年筆のペン先についてはFなどの細字でシャープ感を楽しみたくなりますが、これまでに自分が最も原稿書きで集中したのはBで、前印象と実際に書くのとではイメージが変わるものだなと痛感しました。

ときに。万年筆を日々使ううち、キャップを閉める時のネジ部分にゴミがたまることがありますよね。
このような感じに。ネジの部分に御注目ください。▽

プラチナ万年筆 #3776センチュリー 万年筆

せっかく美しい半透明の軸なのだから、これは気付くたびに綺麗にしておきたいものです。
例えば下の写真のように短めの穂先をしたブラシを使い、ネジの溝に逆らうような流れでサササッとこすって取るとすっきりします。▽

プラチナ万年筆 #3776センチュリー 万年筆

特に化粧品のブラシにはこの作業に向く形状が多種あり、サイズも小さく、肌に使うものだけあって軸素材にも優しく良いようです。

それから#3776センチュリーは、NAGASAWAオリジナル キップレザー3本差しペンケースのLにサイズがぴったり!▽
プラチナ万年筆 #3776センチュリー 万年筆

ここで紹介した軸の他にも、より透明感を増した「ニース」「山中」、会津や加賀の蒔絵軸、セルロイドや屋久杉、ブライヤー軸など多彩な軸が揃い、ペン先の字幅も多種揃っています。
今後は細軟、ロジウム版のシャルトル・ブルー、ニース ピュールなどと増やしていきたい!
もちろん万年筆をこれから手にするという人や、万年筆を使い慣れた人への贈り物にも最適で、常に新鮮な書く喜びを与えてくれる万年筆です。

さてここで万年筆にかかわるお知らせを。
文房具情報誌としておなじみのエイ出版社『趣味の文具箱』から、新刊本『PEN BRAND 世界のペンブランド』(1,700円+税)が2016年3月29日に発売となりました。

プラチナ万年筆 #3776センチュリー 万年筆

世界の55ブランド・973本の筆記具が一堂に紹介された保存版です。
小日向も原稿を書き、特に50ブランドの導入部分・ブランドのあらまし紹介をまとめて、各社の歴史や数々の逸話に深く感じ入った次第です。新たに使ってみたいアイテムが一気に増えてしまいました!
今回のブログに書いたプラチナ万年筆は、96〜99ページに掲載されています。
ぜひお手許に置かれ、御愛読ください!

小日向 京(こひなた きょう)

文具ライター。
文字を書くことや文房具について著述している。
『趣味の文具箱』(エイ出版社刊)に「手書き人」「旅は文具を連れて」を連載中。
著書に『考える鉛筆』(アスペクト刊)がある。
「飾り原稿用紙」(あたぼうステーショナリー)の監修など、文具アドバイザーとしても活動している。

小日向京のひねもす文房具

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