10月も半ばを迎えようとしている現在、手帳選びのシーズンまっただなかとなりました。
……なんて言うと、「まだ10月じゃないか〜」と笑われてしまいそうですね。手帳好きの人たち以外からは。
手帳好きの手帳選びシーズンの始まりは、今年も実に早かった。すでに8月にはSNSなどで「2017手帳買いました」報告を目にし、えっもう?! と思っていると、そこから9月にかけて「買いました報告をSNSで見て定番手帳の発売を知る」こととなり、10月に入れば文具店や書店には手帳コーナーが登場、いよいよ手帳選びも本番に。
手帳好き目線でいうと、1月始まりの場合は以下のような流れとなるでしょうか。
《8月》発売になったものから順次購入
《9月》押さえておきたい手帳はひととおり買い終える(捕獲1クール目終了)
《10月》手帳コーナーを回り、雑誌の手帳特集をチェックし、手帳イベントに参加して情報収集(もう「買い終わっている」のにもかかわらず)
《11月》このあたりで「やっぱりあの手帳が品切れになるのは惜しい」とさらに買い足す(2クール目)
《12月》年始を間近に控え、年忘れ買いの追い込みにかかる(2.5クール目あたり)
《1月》12月に前乗りで使い始めていた手帳の中からメインにするものを決定づけつつ、まだ売り場にある手帳をチラ見し、値引きのものがあったりなどしたら喜んで買う(3クール目終了)
《2月》心はなおも揺れつつ、ひとしきり考察と反省
《3月》4月始まりの手帳を売場でパラパラとめくる(買うこともある)
《4月》1月から(あるいは12月から)使う手帳を読み返して改善点などをピックアップ
《5月》ああ、空欄の目立つ手帳も出てきたわ…と複数冊使いからちょっと足を洗ってみたり、そのまま突き進んだり
《6月》「今年ももう半分が過ぎてしまいますね」という会話はもはや時候の挨拶
《7月》来年の手帳が発売になるのはいつだろうと胸躍る
…と書いていたら、1年回ってしまいました。正直オフシーズンなどないという。
小日向も、冒頭写真の通り来年の手帳や日記を用意しました。
でも10月になったあと手帳特設コーナーで買い求めたのだから、よくがんばったなあと思います。
※ がんばった=買わずに耐えた
手帳に抱く魅力の要素は、小振りにまとまった束感や、常に自分と行動を共にするという一体感、そして日々使うごとに手になじみ、毎日を充実させ、ついては人生をより好ましいものにしてくれる予感を抱かせるところにあると感じます。
実際にスケジュール手帳として使うものは自分は1冊と決めていますが、それ以外にも「束感がいい」「表紙がいい」「書体がいい」「用紙がいい」「なんだか気分が上がる」というものなどあって、ついつい数を増やしてはそれらを〝特別な罫線枠のついたノート〟として使います。
昨年末の手帳模索については第十六回「2016手帳へのカウントダウン」に書いた通りで、結果スケジュール手帳には今年と同じ「NOLTY 能率手帳1 ニューレッド」を来年も使うことにしました。
このニューレッドは鞄の中ですぐ目に留まり、取り出すのがとても速くなりました。
第五十一回「走り書きメモの道具・能率手帳の冊子」で書いたように、別冊の補助ノートを中に入れています。
予定を直ちに記し、この手帳を見ることさえ怠らなければ、人との予定も自分との予定も欠かすことがありません。ちょっとした時間に手帳を開いて確認&記入、という習慣さえつけば、その手帳は自分の身体の中に組み込まれたも同然です。あとは目的遂行に全力を尽くすのみ。
博文館新社の「要務日記」と「懐中日記」もリピート組。ノート用です。要務日記は見開き8分割、懐中日記は見開き4分割という罫線枠として役立ちます。
要務日記は2016年版は〈皮装〉のものにしましたが、束の三方飾りが金箔で、こちらの〈ビニール装〉の三方飾りのオレンジ色が本文罫線と良い調和を生んでおり、2017年版はビニール装にしました。
懐中日記は月始めに節気や季語、行事・記念日などの情報があり、『趣味の文具箱』での連載「文具歳時記」の内容メモとして2016年版から重宝しています。
あとは、まもなく購入することになる「能率手帳ゴールド」で来年の手帳は打ち止めとしたいものですが…どうなることやら。「10月時点」ではこのような状況です。
こちらのひねもす文房具をお読みいただいている方々の中には、手帳を(かなり)好んでおられる方も多いのではないでしょうか。これからの季節、いっそう売場へ足繁く通う楽しみが増しますね!
来年も、毎日気分を上げて自分と向き合うために。
思う存分、手帳選びを続けましょう。
小日向 京(こひなた きょう)
文具ライター。
文字を書くことや文房具について著述している。
『趣味の文具箱』(エイ出版社刊)に「手書き人」「旅は文具を連れて」を連載中。
著書に『考える鉛筆』(アスペクト刊)がある。
「飾り原稿用紙」(あたぼうステーショナリー)の監修など、文具アドバイザーとしても活動している。