みなさんこんにちは!
ナガサワ文具センターのスタッフ長田です。
マニアックになり過ぎず一般的な視点で『逸品』をご紹介させて頂く『逸品ブログ』。
今回ご紹介させて頂く『逸品』は、”シヤチハタ ネーム9″です。
≪シヤチハタ ネーム9≫
ハンコ社会の日本に於いて、これほどまでに大ヒットした商品は無いと言い切れる”シヤチハタ ネーム9″。
商品が企業名の”シヤチハタ”と呼ばれているくらい、ビジネスシーンではもうお馴染みです。
もしかするとネーム9という商品名を知らない方も居られるかもしれませんね。
最近では宅配便の荷物受け取りもネット販売の普及で飛躍的に伸び、家庭でも大活躍しています。
ネーム9は直径9.5mmの浸透印です。
ちなみに…印影が直径6mmのものは”ネーム6″、8mmのものは”ブラック8、”11mmのものは”ブラック11″です。
全て印影の直径に合わせて商品名が決められています。
ネーム9のような、スタンプ台が必要ないスタンプの総称を浸透印と言います。
既製品の印面書体は楷書体です。
印面がゴムで出来ている為、印影が変形することがありますので、印鑑登録は出来ません。
よく”シャチハタ不可”を記載されているのはこの変形の可能性があるからです。
しかし印鑑登録はできませんが、その手軽さ、便利さから爆発的は普及を果たし、現在に至ります。
文房具店やホームセンターなどでタワー型の店舗什器をご覧になった方も多いと思います。
現在、既製品と準既製品を合わせ、製品化されている氏名の数はなんと2,960名!
もちろん別注も可能ですよ。
≪ネーム9の歴史≫
ネーム9の歴史を紐解くと1965(昭和40)年まで遡ります。
元々シヤチハタはスタンプ台を製造しているメーカーでしたが、当時のスタンプ台は使う度にインクを補充していました。
そこでシヤチハタが開発したのが”万年スタンプ台”。
インク補充の煩わしさを解消した”万年スタンプ台”は当時画期的な商品でした。
そんな革新的なメーカーが次に開発したのが、”Xスタンパー”です。
インキをしみ込ませる多孔質ゴムを開発。
スタンプ台のいらないスタンプとして”領収書”や”速達”などを1965(昭和40)年に発売。
オフィスではかなり重宝されたと聞いています。
そして1968(昭和43)年にXスタンパーの技術を活かし、個人用の印鑑として”シヤチハタ ネーム”が誕生。
このシヤチハタ ネームが現在のネーム9の原型となり、1986(昭和61)年に”ネーム9″が発売され現在に至ります。
画像は初代のシヤチハタ ネームです。
今と異なりグレーのボディで、インクは染料でした。
ちなみに現在は顔料インクですので、水に濡れてもにじみません。
(昔の画像はシヤチハタ様のサイトからお借りしました)
≪シャチハタではありません≫
前述のネーム9ではサラッと記載していますが、社名に注目してみて下さい。
“シヤチハタ”と記載していると思います。
分かりますでしょうか?
シ”ヤ”チハタです。
シ”ャ”チハタではないんです。
読みはシャチハタ、英語記載もShachihataです。
何故”ヤ”が大きいのか?
正直なところ、理由は把握していません。
シヤチハタの社名は名古屋の会社ということから名古屋のシンボル=名古屋城の金の鯱鉾が由来となっています。
シヤチハタと改名されたのが1941(昭和16)年の事ですので、当時”ャ”は表記するとき”ヤ”と大きく表記されていましたので、そのまま引き継がれているのだと思います。
≪ネーム9のボディ記載名≫
少し細かい話ですが、ネーム9のボディの記載名が変わりました。
少し前までは”Xstamper”と記載されていましたが、現在発売されているものは”Shachihata”と記載されています。
商品名としてはネーム9はそのままなんですが、仕様変更されています。
自分が使っているのは”Xstamper”、新入社員は”Shachihata”なんてことがあるかもしれませんね。
≪インクの補充方法(そして少しだけ裏技)≫
通常、ネーム9の印影が薄くなってきたときは、専用カートリッジが販売されていますのでそれを交換します。
手も汚れず、簡単に交換出来て非常に便利です。
しかし一日に何度も捺印する方は、交換頻度が高くなってしまいます。
そうのような方にオススメなのがコレ。
カートリッジではなく、補充インクだけが入っています。
ヘビーユーザーの方は左のボトルタイプがオススメです。
「でもどうやって補充するの?」
分からない方は下記を参照してください。
経済的ですので、ホントにオススメです。
たぶん、文房具屋さん、印鑑屋さんはみんなこの方法で補充していると思います。
(1)ボディからカートリッジを取り出す
ボディを外し、中にあるカートリッジを取り出します。
これは通常のカートリッジ交換の時と同じです。
(2)カートリッジにインクを少しずつ付ける
カートリッジに直接インクを付けていきます。
ドロッとしたインクが少しずつスポンジに染み込んでいきます。
この時、インクの付けすぎに気を付けてくださいね!
せっかくなので、さらに裏技をご紹介します。
これはホントにお手軽です。
(1)キャップを取り、印面に直接補充インクを垂らす
たったこれだけです。
しかし、インクが印面に浸透していくまでに約3時間ほど掛かります。
インク補充してから帰社するときは便利ですよ。
≪インク色は色々あります≫
ネーム9のインクの色は赤ではなく朱色です。
一般的な朱肉の色に合わせてあります。
しかしあまり一般的には使用されませんが、赤や青などのカラーバリエーションがあります。
黒、赤、藍色、緑、朱色、紫の全6色です。
これは、印鑑(氏名印)としての用途以外に、ポイントカードや出欠記録など他の用途にも使用されることがあるからです。
別注時にお申し付けくだされば、様々なハンコが作れますよ!
≪最近は様々なカスタマイズが出来ます≫
黒いボディが特徴のネーム9ですが、最近はカスタマイズパーツが数多く販売されていますので、自分好みのネーム9を作り上げることが出来ます。
どれもパーツを差し替えるだけですのでホントお手軽ですよ! 画像でご紹介しているパーツ以外にもたくさんの種類がありますので、ぜひ自分流カスタマイズを試してみて下さいね。
私が普段使っているネーム9もカスタマイズしてみました。
個人的には気に入っているんですが、いかがでしょう?
≪印面が汚れたときは…≫
日常的に使用していると、どうしても印面が紙粉で汚れてきます。
印面が汚れると、ハッキリとした印影が捺せなくなってきます。
そんな時はこのようにクリーニングすると、きれいな印面に戻りますよ!
(1)セロハンテープを用意して印面に貼りつける
たったこれだけで印面が復活します。
ぜひお試しくださいね!
結果はご覧の通り。
キレイな印面が復活しました!
この方法、実はネーム9を購入したときの説明書にも記載されている方法なんですよ!
印面の汚れが気になっている方、ぜひお試しくださいね。
≪日常使いが普通に出来る商品が逸品≫
当たり前のように普段から使用しているネーム9ですが、ハンコ社会の日本では画期的な商品だと言うことをお伝え出来ましたでしょうか?
まさに逸品に相応しい商品だと思います。
ホント先人の知恵と努力に感謝です。