もくじ
オノマトペ万年筆ゆらゆらで見つける”ほんとうの幸い”

オノマトペって?
”オノマトペ”ってなに?と妻に訊ねられて、「えーっと、ほら、”わんわん””さらさら”とかいう、アレ!」と、ちゃんと伝えられなくて、これって日本語?英語?ひょっとしてロシア語かな?と、改めて辞書をひいてみると実際の音をまねて言葉にした擬声語・擬音語を意味するフランス語でした。
オノマトペと宮沢賢治
”オノマトペ”と聞いて、真っ先に思い浮かべたのは、詩人であり童話作家の宮沢賢治(1896~1933)、その人でした。
おそらく、学校の教科書で一度は宮沢賢治の作品に触れたひとも多いはず、そんな誰も知る彼の作品の中には、たくさんの”オノマトペ”が登場します。
代表的な作品を挙げると
『風の又三郎』では、「どっどど、どどうど、どどうど、どどう」
『よだかの星』では、「ぴちぴち」「ぐるぐる」
『セロ弾きのゴーシュ』では、「ぎいぎい」「ぱたぱた」「ころころ」
『注文の多い料理店』では、「がたん」「ぱちん」「ぺたぺた」
など、まるで”オノマトペ”の見本市のように、頻繁にこの表現が出てきます。
これらは、音や環境を効果的に表現するためだけではなく、宮沢賢治作品の独特の世界を形つくる大きな要因にもなっています。
オノマトペインク「ゆらゆら」

”オノマトペ”の表現を名前にした万年筆インクがナガサワ文具センターから発売されています。
優しい言葉とシンプルで親しみやすい色合いに加えて、すりガラス仕様のインクボトルと、花びらのように四方にむかって広がる美しいパッケージが、「Kobe INK物語」とはひと味違う魅力を醸し出しています。
2022年12月に発売された「オノマトペインク ゆらゆら」は、ゆらゆらと揺れるすみれの花をイメージした高貴な紫色のインクに、シルバーのグリッターラメを加えた、はじめてのラメ入りインクでもあります。
(オノマトペインクゆらゆらは万年筆ではなくガラスペンのようなつけペンを推奨しています)
オノマトペ万年筆ゆらゆら

「オノマトペ万年筆ゆらゆら」は、「オノマトペインクゆらゆら」をモチーフに生まれた万年筆で、インクよりも淡い紫カラーで全身を包む半透明な軸にラメがちりばめられています。
主張しすぎない落ち着いた色合いは、筆記の際に手の中に優しく溶け込んで一体化していくようです。
先日、新しく選出された総理大臣が、モンブラン万年筆を署名に使っているのを見て、とてもカッコイイと思いました。しかし、普段使いにするのはちょっと重厚すぎる気がしないでもありませせん。(あこがれの万年筆ですが)
「オノマトペ万年筆ゆらゆら」は、カフェで珈琲を片手に手帳を広げるときや、自宅で寛ぎながら日記を書くときなど、毎日の生活の中で肩肘をはらずに使えるフレンドリーな万年筆です。
さらに、万年筆の醍醐味とも呼べる滑らかな書き味を体感できる14金のペン先を採用して、”万年筆”の名前に相応しく長く使える仕様です。
“万年”も使えるかは、私もそこまで長く生きている訳ではありませんが、20代の頃にはじめて手にした14金ペン先の万年筆は、30年以上が過ぎた今も現役で活躍してくれています。
「オノマトペ万年筆ゆらゆら」の、親しみやすさと上品さを併せ持った淡い紫カラーは、ビジネスもプライベートも一所懸命に生きる方に相応しいモデルであり、これから万年筆デビューをしたい人にもおすすめです。
まとめ

オノマトペの名前を冠した万年筆が発売されると聞いて、久しぶりに宮沢賢治作品を読み返してみると、いたるところに子どもの頃には気がつかなかった難解な部分がたくさん見え隠れしているのを見つけました。
にもかかわらず、いまでもなお多くの人に愛されている彼の作品は、美しい日本語で綴られた文章と”オノマトペ”の心地よいリズムを奏でる言葉が、深い意味はわからなくても、その作品の世界に誘います。
難解な中にも、明確なテーマが存在する『銀河鉄道の夜』では、主人公ジョバンニが”ほんとうの幸い”の答えを見つける物語であり、メーテルリンクの『青い鳥』に通じるテーマでもあります。
イーハートーブ(理想郷)をもとめた宮沢賢治が死を目前にひかえ、そのことに気付いて『銀河鉄道の夜』(未完)を書こうとしたのかもしれません。
私にとって、ペンと紙がある空間こそがイーハートーブだと思っているのですが、「オノマトペ万年筆ゆらゆら」を手にしたひとが、身近にある”ほんとうの幸い”と、自分だけのイーハートーブを見つけるきっかけになってくれると嬉しいなと、ペンを握りながら、ふとそんなことを考えた秋の夜でした。
仕様
商品名
NAGASAWA万年筆「オノマトペ万年筆 ゆらゆら」
モデル
プロフェッショナルギアスリム
ペン先
14金/風見鶏の刻印
キャップリング
二重リング
字幅
EF・F・MF・M・B・Z・MS
付属品
コンバーター
販売価格
EF・F・MF・M・B 38,500円(税込み)
Z・MS 40,700円(税込み)
取扱店舗
NAGASAWA Penstyle DEN・NAGASAWA梅田茶屋町店・NAGASAWA神戸煉瓦倉庫店・ナガサワ文具センター公式オンラインショップ