小日向京のひねもす文房具

小日向京のひねもす文房具|第九回「ヴィンテージ筆記具」

小日向京のひねもす文房具|第九回「ヴィンテージ筆記具」

ヴィンテージ筆記具とは、「年代もの」の万年筆やボールペン、シャープペンシルなどを指します。
誰かの使った中古品であったり、お店の在庫として残されていたデッドストックであったり、その経年状況によって様々なものがあります。

ナガサワ文具センターに行くと、まず最初に足を運ぶのがヴィンテージ筆記具の並ぶコーナーです。
神戸PenStyle DENでは店内中央の柱ショーケース。
神戸煉瓦倉庫店では正面から入ってレジまで右手からまっすぐ行く途中の壁側ショーケース。
梅田茶屋町店では入って右奥に進んだあたり。外側からも見られる。10月17日のリニューアルオープン後には、どの場所になるのか要チェック態勢。
…と、この3店舗で欠かせない行程がヴィンテージ筆記具確認なのです。

ヴィンテージ筆記具の一番の魅力は、現行品とはまた違った逸品に巡り合えるところで、たとえば次のようなときめきポイントが。
◆カランダッシュ・エクリドールの鍍金に、今のロジウムコーティングとは違う良さがある。
◆パーカーの矢羽根の形が昔のもまたいいなあ。
◆モンブラン121万年筆にこんな細字のペン先があったなんて…。
◆ 待ってました、エス・テー・デュポンの細軸ボールペンを!
◆ シェーファー・ノンナンセンスの珍しい柄ものも発見!
そんな具合で、目を皿のようにしてショーケースに見入り、ざっと状況把握をしたら現行品やインクなどを見に行き、またヴィンテージコーナーのところに戻り、また別のところへ行き……というふうに練り歩きます。
万歩計をつけていたら、けっこうな店内歩数になるのではないか?
そんな売場での「うろうろヴィンテージ悩み」が楽しくてやめられません。

ヴィンテージものは、一期一会。
古くに作られ、人の手を経てきたものや、使われることなく何十年も眠っていたもの、長く異国の地にあったものなどが、そこへ訪れた自分と「偶然に」巡り合うのです。
互いの経てきた長い長い時間軸が、ぴたりと重なり合うその瞬間は奇跡であり、そこで心に響く一本を手にした時の感激はひとしおです。
発売当時にはとうてい買うことのできなかったものが、思わぬ価格で売られていることも。さらに発売年が自分の生まれた年というものがあったりなどして、一本ずつ丁寧に眺めていく「探す喜び」にあふれています。

そんななか店員の方々のささやきかける言葉でいっきに背中を押されてしまうという、キメ台詞の数々は以下の通り。▽

小日向京のひねもす文房具|第九回「ヴィンテージ筆記具」

もうこのまま離ればなれになることなんてできない!
そしてまたヴィンテージ筆記具が文具箱に加わることとなるのでした。

聞くところによると、ナガサワ文具センターではペンフィッターの方が再び海外へヴィンテージ筆記具を買い付けに行かれているとのこと。
つまり、また店頭ラインナップが増えるわけで。練り歩きに行かなければ。
11月初旬頃から、検品を終えたヴィンテージ筆記具が順次店頭に並びはじめるようです。

筆記具以外にも、思わぬヴィンテージ文具が見つかることがあります。▽

小日向京のひねもす文房具|第九回「ヴィンテージ筆記具」

写真上は昭和の頃のものと思われる、木箱入り企業ノベルティーの純銀ペーパーナイフ。下はメーカー名の記載のないガラスのインクウェルです。小さな丸い3つのインク受け皿に、ペンレスト付き。こういうものがさりげなくショーケースに置かれていることがあるのもまた、たまりません!

前述の通りナガサワ文具センターではヴィンテージ筆記具にもすべて検品がなされ、万年筆は現行品同様にインクを入れてすぐに使えます。
ボールペンはほぼ各社リフィルの形状を変えていないので、こちらも現行品リフィルですぐに使用可能。
シャープペンシルは、太さの合った芯を入れるだけと最も簡単に楽しむことができます。
どこかで時を過ごしてきたものをぴかぴかに磨いて、自分の手元に落ち着かせ、長い時を共に過ごしてゆく──そんなヴィンテージ筆記具との蜜月を味わってみるのもいかがでしょう。

小日向 京(こひなた きょう)

文具ライター。
文字を書くことや文房具について著述している。
『趣味の文具箱』(エイ出版社刊)に「手書き人」「旅は文具を連れて」を連載中。
著書に『考える鉛筆』(アスペクト刊)がある。
「飾り原稿用紙」(あたぼうステーショナリー)の監修など、文具アドバイザーとしても活動している。

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