小日向京のひねもす文房具

小日向京のひねもす文房具|第三十二回「デルタ ビンテージ 万年筆」

デルタ ビンテージ 万年筆

1982年に南イタリアのパレーテで創業した万年筆メーカー・デルタ。
創業34年という、万年筆メーカーとしては比較的新しいデルタですが、アルチザン(伝統職人)による製品作りをコンセプトに、これまで数々の話題作を発表してきました。
その筆頭が、1997年発売となったドルチェビータです。鮮やかなオレンジのボディと、ピアノブラックのようにつやつやの黒キャップ。このコントラストに魅せられた人は多数おられるのではないでしょうか。

そのデルタが2009年に発表した万年筆が「ビンテージ」シリーズです。
シンプルな円筒形で、キャップ収納時には13cmに満たない長さのコンパクトな万年筆は、多彩な軸色ラインナップもあいまってデルタ万年筆の「新定番」となりました。

軸色のラインナップも揃っており、そのレジンの美しさには定評あり。例年日本限定モデルも出ていて、今年は「レ・スタジオーネ・コレクション」と称し、日本の四季を表した「インベルノ(冬)」「プリマベーラ(春)」が数量限定発売となりました。
上の写真の上から4本目・黒いキャップに青いボディーがインベルノ、上から3本目・キャップの開いた緑色のものがプリマベーラです。

小日向が一番最初に選んだビンテージは、写真一番下の白軸でした。
この白軸にインクを入れると、光に透けてうっすらと見えるさまが愛らしくて…!▽

デルタ ビンテージ 万年筆

この白軸にはグリーン、ターコイズ、ピンクなど、季節に応じてインクを変える楽しみも生まれます。そうすると、さらに他の色軸も揃えたくなる…という連鎖。
豊富な軸色ラインナップのせいなのか、その「はんこ」を長くしたような円筒軸に親しみを抱くのか。シルバーのクリップと、洋服のポケットを傷めないよう車輪状になったクリップの先端部分、そしてシルバーリングにアクセントのように入ったゴールドのライン。軸のレジンにはもちろんのこと、そうした細部まで「良い!」と感じて、ついつい1本また1本と増やしていきたくなる万年筆なのです。

この万年筆を選ぶさいには、万年筆ユーザーにとって2つの重大な心得があります。
ひとつは、スチールペン先であること。
もうひとつは、ヨーロッパタイプ(小)のインクカートリッジ専用であること。
金ペンではなく、コンバーターも使えないと知れば、「ついつい何本も買ってしまう」万年筆好きにとってはいっとき躊躇する要素となり得ましょう。
しかしこの要素を万年筆ユーザーでない人に話せば「それの何が問題なの?」とポカン顔をされることがほとんどであるように、このビンテージに手をのばすことを躊躇するようなら、この時ばかりは万年筆に関心のない人の言うことをきくのが一番のようです。

デルタ ビンテージ 万年筆

なぜって、スチールが金ペンが…という違いはさておき、この万年筆は「書いていてとても気持ちいい」のです。上の写真のインクは、ウォーターマンのミステリアスブルーを使いました。
ビンテージのペン先は、なめらかですべりよく、そしてそのなめらかさのなかに「芯のあるような硬さ」も兼ね備えているところが魅力です。もしもスチールペン先と金ペンとの違いを考えるなら、この「芯のある硬さが、なめらかさのなかにある」という点がスチールペン先の優れたところと感じます。
パスタでいうなら、アルデンテの歯ごたえのような。
あの硬さがあるからこそ、素材の滋味がじんわりと口中から心へと沁みてくるのでしょう。
(うわ…今夜はパスタにしたくなってきた)

そして、カートリッジしか使えないならいっそ、カートリッジインクを楽しんでしまうという方法があります。
吸入式やコンバーター使いの合間に織り交ぜるカートリッジ式も良いもので、出先でインク切れになっても「あら、そう」と、予備のカートリッジを颯爽と出して挿し替える……という手軽さは、吸入万年筆をメインにする身にはちょっとした新鮮な感動さえあります。

カートリッジ式なのはわかった。それはいいが、自分にはどうしても入れたいインクがあって、それがヨーロッパタイプ(小)にはないのです! というかたは。
カートリッジの1本目は違う色を使って、中身が空になったところで洗い、好みのインクに注射器型スポイトで詰め替えるのが良さそうです。
小日向もヨーロッパタイプのカートリッジを空にするたび、今度何かを詰め替えたい時のために洗って温存しておきます。▽

デルタ ビンテージ 万年筆

注射器型スポイトからカートリッジに水を入れて抜く、という繰り返しをぶしゅぶしゅさせて洗います。あとは乾かして準備完了。
これで神戸インクもビンテージで使えますね!

デルタ ビンテージを何本と揃えていくもうひとつの楽しみは、同じ形をしているため「キャップと胴軸を替えられる」ということ。
たとえばこのように、白軸とインベルノのキャップを取り替えてみたり。▽

デルタ ビンテージ 万年筆

この軸と、あの軸も合うかな? と、あれこれ頭のなかでシャッフルしてみるのもまた楽しいものです。
桜咲こうという頃、万年筆計画にデルタ ビンテージも含めつつ、心に軸色やインクの花を咲かせましょう!

小日向 京(こひなた きょう)

文具ライター。
文字を書くことや文房具について著述している。
『趣味の文具箱』(エイ出版社刊)に「手書き人」「旅は文具を連れて」を連載中。
著書に『考える鉛筆』(アスペクト刊)がある。
「飾り原稿用紙」(あたぼうステーショナリー)の監修など、文具アドバイザーとしても活動している。

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