小日向京のひねもす文房具|第五十四回「風呂敷包み」

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先日、家の近くにある宅配便営業所へ荷物3個を受け取りに行き、その足で出かける用事がありました。その3個の荷物のだいたいの大きさは予想がついていましたが、紙の手提げ袋を用意してもしも入りきらなかったら困るなと思い、風呂敷を1枚持って行きました。
受け取った3個の荷物の形を見て、持ち運びしやすいように包み、次の用事へ。
そんな時に風呂敷はとても便利です。

冒頭写真は、NAGASAWAさんちか店で購入した「コチャエ(COCHAE)」の風呂敷「つつみ絵 70 福コチャエ 七福神と鯛 ミズイロ」です。
鮮やかな水色の青海波模様に惹かれて。商品帯のレモン色とのコントラストも、売場でひときわ目を引きました。
コチャエは〝あそびのデザイン〟をテーマに製品作りを行う、岡山のブランド。
「コチャエ」というちょっと聞き慣れない言葉は、岡山県の伝承民謡にあるお囃子に用いられるもので、「こちらへどうぞ」「こっちはいいぞ」などを意味するそうです。
そう知ると確かに、まぎれもなく日本語の響きだなと思えてきて、「こちゃえ〜」と陽気に語りかけられるようなぬくもりを感じます。
この「七福神と鯛」の風呂敷サイズは、約70cm×70cm。広げてみると、絵柄の寄りはこのように。

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パキッとしたポップな絵が愛らしいですよね! 七福神、宝船、鯛、小判に大入り袋に鏑矢と縁起柄が満載です。ゴールド彩色もふんだんに使われていて、いっそう縁起良し。撥ねる鯛の水しぶきまでもがゴールドですから、御利益もありそうな気持ちになってきます。

風呂敷の良いところは、平らにたたんでコンパクトに収納でき、包む時にはかなり雑多にかさばるものでも自由に成形できる点です。
どうしても包みきれない時には2枚、3枚と角同士を結んでつなげれば「風呂敷の拡大」もさせられます。
何より良いのは「風呂敷包みの用途以外にも役立つ」点です。
たとえば弁当箱を包んで広げればそのまま敷物になるように、大判のものなら屋外で座る時や物を置く時の急場の敷物にもなり、自宅でもテーブルやチェストのオブジェを置く時の敷物に向くものがあることでしょう。
薄手の布地なら、色柄によってはスカーフ代わりに巻くのも一案です。
旅行の時には予備に持ち運びがてら、洋服を包んでおいたり、ノートなどをひとまとめにしておく文具包みとしたり。ほこりよけに被せておいたり、ソファーの背にかけて模様を楽しんだり。「使わない時にも使える」ところは、風呂敷の飽くなき魅力です。

上のコチャエの風呂敷で、長方形の箱を包み結んでみましょう。
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風呂敷を裏に返して、箱を中央に置きました。こうした四方に異なる絵柄は「どこを表に出すか」を考えながら包むと、様々な表情を見せてくれます。
七福神のほうから先に折り、その上に宝船のほうを重ねていくと。
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このようになりました。紅と黒の鯛の一部分が、結び目をつなぐアクセントになっています。
次に中の箱の方向を変え、風呂敷の対角線で折り三角形にして、両側の角を中へたたみ込みながら上で結ぶと。
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七福神が一面に勢揃い。賑やかな雰囲気です。
その日の服装との色柄合わせを考えながら、包みかたを変えてみるのも楽しいものです。

こうした伝統的なモチーフが現代風にデザインされたものはもちろん、古典的な柄の風呂敷も姿全体との兼ね合いで差し色として用いると、洋装にも違和感なく粋にまとまり得る荷物となります。
季節や天候に合わせて選び分けてみても、その一日を気持ち良く過ごせそうですよね。
文房具とのコーディネートもまた嬉しさが広がります。
風呂敷包みを、日々の要所で楽しみましょう!

小日向 京(こひなた きょう)

文具ライター。
文字を書くことや文房具について著述している。
『趣味の文具箱』(エイ出版社刊)に「手書き人」「旅は文具を連れて」を連載中。
著書に『考える鉛筆』(アスペクト刊)がある。
「飾り原稿用紙」(あたぼうステーショナリー)の監修など、文具アドバイザーとしても活動している。

小日向京のひねもす文房具




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