小日向京のひねもす文房具

小日向京のひねもす文房具|第百二十七回「TWSBI ダイヤモンド ミニ AL 1.1 万年筆」

小日向京のひねもす文房具|第百二十七回「TWSBI ダイヤモンド ミニ AL 1.1 万年筆」

TWSBI(ツイスビー)は、台湾の万年筆メーカー。各国万年筆メーカーからのOEM製造歴40年超を誇る太幸精密工業(Ta Shin Precision Industry)が2009年に立ち上げ、TWSBI/三文堂筆業と名付けました。
「TWSBI」は、三文堂の読み・San Wen Tongの頭文字SWTを逆並びにして「TWS」とし、「筆」の読み・Biを加えてTWSBIとした名称です。
たとえば北京ダックで世界的に知られる名店・全聚徳は、150年前に店舗を構えるさい、その場所に前あった「徳聚全」という店の名前を逆並びにした店名にすれば成功する、と風水師に言われ、そのアドバイスに従いました。その結果は現在の通り。TWSBIの逆並びにもそうした験担ぎがうかがい知れます。
またTWSBIの文字からは「TW’s BI=台湾(TW)の筆(Bi)」という意味も連想させる、ひとひねりもふたひねりもあるネーミング。良い製品を作るんだという気合いが、その名称にあふれていますね!

そしてその心意気は何よりも、万年筆の端々に表れています。
冒頭写真のダイヤモンド ミニ AL は、レギュラーサイズのダイヤモンド580の軸を2.5cmほど短くした万年筆で、NAGASAWA キップレザーペンケースでいうならば、3本差しSに入れるのにぴったりなサイズです。
キャップを外してみましょう。

小日向京のひねもす文房具|第百二十七回「TWSBI ダイヤモンド ミニ AL 1.1 万年筆」

キャップはネジ式で密閉度が高く、透明軸の素材感も美麗で、コンビの金属色が引き立ちます。
キャップと尻軸はつるりとした円筒形ですが、インクタンクのある部分にはカッティグが施してあり、丸軸に華やかさを添えています。このカッティングは握りやすさにも一役買っており、人差し指と親指ではさみ込む感触は安定感抜群。細部にまで工夫の凝らされた万年筆です。

特筆すべきがこの1.1mmのスタブペン先。素材はステンレススチールです。
TWSBIのスチールペン先にはEF・F・M・Bの他に1.1と1.5のスタブがあり、縦太横細の描線を味わうことができます。
なかでもこの1.1は、ノートや日記などの普段使いにも秀逸。手紙など一筆したためる時にもほどよく、一気に登場頻度が増すペン先なのです。
SNSを見てもTWSBIの1.1スタブペン先の虜になる人が多数おいでで、その人々の暮らす地域は世界規模。様々な言語に向く字幅でもあるようです。

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こちらはペン先を裏から見たところです。明確に先が太いですね! 平たく幅広の形は、自分のペンの握り方に応じて傾き加減を決めてから書き進めるとスムーズにインクが流れていきます。
スチールペン先であることは、気になるでしょうか。書き出すと、そのなめらかさに「これがスチール?!」と感じ、これまでにウォーターマンやデルタなどで感じたのと同様の「スチールペン先ってむしろこれいいな!」という感覚を抱きます。

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インクを入れて、書いてみました。
ピストン吸入式のインクタンクは、たっぷり大容量! インクは、Kobe INK物語 #64・住吉山手ジェイドグリーンを入れることに。スタブで味わうジェイドグリーンは、深みのなかに清涼感があって気分がキリッと整います。
日本語の文字にもぴったりくるスタブは、はね・とめ・はらいを意識しつつ書けて、ああ文字ばかりずっと書いていたい…という気持ちになれること必至。これは癖になりますよ!

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パッケージには、分解キットが付いているのもTWSBIの特徴です。万年筆がセットしてある内側の台をケースから外して裏返すと、レンチとグリスが格納されています。これらを使うとパーツをピストン部分まで分解・洗浄することができ、インク色を違ったタイプに入れ替えるさいにも色が混ざることがありません。グリスはピストン機構のための潤滑油です。

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このように、取扱説明書も懇切丁寧。ビジュアル中心で、わかりやすいですね!

またTWSBI製品にはインク補充用の別売専用ボトルも用意されており、そちらを使うとペン先をインクに浸すことなく補充ができる優れものもあります。
そちらについては、また別の機会に書きたいと思います。
もちろんこのままでも通常のピストン吸入式万年筆としてインク補充は可能。万年筆で書くだけではなく、手入れからインク補充まで万年筆に親しめる製品となっています。

ナガサワ文具センターでのTWSBI取扱い店舗は、本店・PenStyle DEN、さんちか店(La letter de Kobeにも一部あり)、梅田茶屋町店、神戸煉瓦倉庫店、プレンティ店です。
この心地良さと楽しさを、ぜひ味わわれてみてください!

小日向 京(こひなた きょう)

文具ライター。

文字を書くことや文房具について著述している。

『趣味の文具箱』(エイ出版社刊)に「手書き人」「旅は文具を連れて」を連載中。

著書に『考える鉛筆』(アスペクト刊)がある。

「飾り原稿用紙」(あたぼうステーショナリー)の監修など、文具アドバイザーとしても活動している。

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