小日向京のひねもす文房具|第百二十八回「グラフ・フォン・ファーバーカステル パーフェクトペンシル マグナム」

小日向京のひねもす文房具|第百二十八回「グラフ・フォン・ファーバーカステル パーフェクトペンシル マグナム」

1761年の創業から250年を経て、ドイツ・ニュルンベルクで筆記具・画材などあらゆる文具商品を作るファーバーカステル。会社は伯爵家が経営し、社屋はお城であることは有名な話で、その伯爵家にふさわしいファーバーカステルの最高級シリーズが「グラフ・フォン・ファーバーカステル(Graf von Faber-Castell)」のラインナップです。
グラフ・フォン〜と言われると「なんかすごそ…」という予感がするもので、「グラフ」は「伯爵」を意味するのだそうですね。このシリーズ、本当に凄いです。
何が凄いのかといえば、その商品企画で…まさかこれがこんなことに…というアイテム多数。
そのなかでも最たるものは、パーフェクトペンシルです。
鉛筆が! 厳選された木材を用いた軸となり! そこにプラチナコーティングのキャップ類が付いている!
上の写真は一見万年筆か何かにも思えそうなところ、「鉛筆」なのです。しかも、軸径9.5mmという太軸の鉛筆。
そう…これまでの通常サイズのものに加えて、ひときわ太いマグナムサイズが昨年発売となりました。伯爵のお考えになることはとてつもない!
その詳細を見てみましょう。

小日向京のひねもす文房具|第百二十八回「グラフ・フォン・ファーバーカステル パーフェクトペンシル マグナム」

キャップ類を外したところは、このようになっています。
「書く」「消す」「削る」を1本の鉛筆に集約させたところが、パーフェクトペンシルの真骨頂。その機能をエレガントに昇華させた逸品です。
鉛筆は、軸だけでなく芯も太い! 直径5mmあります。通常の鉛筆の黒鉛芯は2mmですから、2.5倍太いという…。
他のパーフェクトペンシルと同様に、キャップにはシャープナーが内蔵されており、消しゴムにはネジ式の消しゴムカバーがこれもまたプラチナコーティングで付いています。
木軸の木材は、カリフォルニアシダーウッド。軸へ縦に入ったリブパターンはカマボコ型に彫られており、握り心地の良さは抜群です。

小日向京のひねもす文房具|第百二十八回「グラフ・フォン・ファーバーカステル パーフェクトペンシル マグナム」

他のパーフェクトペンシルとの大きさ比較は、上の写真の通り。上からマグナム、通常サイズ、カステル9000番です。
カステル9000番など通常サイズのパーフェクトペンシルについては、第十二回に書きました。
見比べても、マグナムはひときわ太いことがわかりますね。…特に芯が!
とはいえ同じ鉛筆、これ作る必要があったんだろうか…? という根本的な疑問をふいに抱くものの、実際手にして書いてみると、マグナムの書き味は通常サイズとはまるで異なり、なるほど納得の品でした。

小日向京のひねもす文房具|第百二十八回「グラフ・フォン・ファーバーカステル パーフェクトペンシル マグナム」

上の写真は、色々な紙に書いてみたものです。
総じて言えることは、走り書きにぴったり向くという点です。太軸で書くと、芯先を移動させるための指の動きは、細軸で書いた時よりも少なく済みます。無駄な動きなく書けるから速く書け、走り書きに向くというわけです。

また、ちょっと考えごとをしたい時、図入りで文章アウトラインを作りたい時、書類に補足を書き込みたい時…そんな時にもマグナムの出番。
その筆感は、ほとんど万年筆のようにならかで、鉛筆であることをいっとき忘れてしまうほどです。
キャップは天冠部を下に向けて机上に置けば、なんと自立もできてしまう優れもの。大きいと、色々良いことがあるようです。

パーフェクトペンシル マグナムは、現在神戸三宮の本店・PenStyle DENに在庫があるそうで、近日梅田茶屋町店にも入荷するそうです。
PenStyle DENといえば、以前にファーバーカステルのドイツ本拠地へ行かれたさいの出張日記も必読です。

グラフ・フォン・パーフェクトペンシル マグナムの存在感と書き味を、ぜひ御体感ください!

小日向 京(こひなた きょう)

文具ライター。

文字を書くことや文房具について著述している。

『趣味の文具箱』(エイ出版社刊)に「手書き人」「旅は文具を連れて」を連載中。

著書に『考える鉛筆』(アスペクト刊)がある。

「飾り原稿用紙」(あたぼうステーショナリー)の監修など、文具アドバイザーとしても活動している。

小日向京のひねもす文房具





小日向京のひねもす文房具|第百二十八回「グラフ・フォン・ファーバーカステル パーフェクトペンシル マグナム」