台湾・台北に来ています。
上の写真は「物外設計/ystudio」のボールペンとペンシル芯ケース。台湾の若手デザイナーによるブランドです。
ともに真鍮製で、ボールペンは回転繰り出し式。鉛筆のような六角軸と、ほぼ軸の長さ中央に位置する回転切り替え部分、そしてクリップなしの潔さが魅力的ですよね!
特に回転切り替え部分で六角の切れ目に「面取り」を施してあるところが実に良い。
これを過去にISOTで見ていらいずっと探していたもののなかなか現物に巡り合えず、もどかしい日々を送っていました。
そこへきて台湾を訪れることになり、「ならば現地で求めるべし!」と取扱店を調べ、ようやくこうして手にすることができたのでした。嬉しい。
見れば同素材のペンシル芯ケースも良いではないか〜っとそちらも購入。
いやシャープペンシルの替芯なら商品ケースごと持ち運べば十分であるし、軸の中にも予備を数本入れてあるから事足りるのですが…。しかし真鍮の六角ケースに替芯を入れるなんてそそる。そそりすぎる。
この「どう使うかは後回しにして、ぐっときたからこれも買うの。買ってしまうの!」という感じ…ふだんナガサワ文具センターで繰り返しその思いを体験済みな身としては、うんうんあれね。と御理解いただけることと思います。
ボールペンのリフィルは、クロスタイプの油性ボールペンでした。
このボールペン、真鍮以外の素材でも色々な軸色でも、たくさん種類を作ってほしい! カランダッシュ849状態を切望。
物外設計/ystudioは素晴らしいデザインの文具揃いで、今後のラインナップにも熱く注目するところです。
いまこの文章を書いている台北の宿の机です。
なぜか2本差しのペンスタンドに同じボールペンが2本あり。部屋に2人いてもそれぞれが使えるようにとの配慮か?
ペンスタンドが2本差しのために土台は広い長方形をしており、その上に時計や小物を置くのに具合良し。
そして椅子がとっても座り心地良い。
宿で出合ったばかりの机にも、筆がのる要因はどこかにあるはずで、今回はこのペンスタンドと椅子に感嘆した次第です。
街歩きでは「文具」の文字に即反応。あるある、ここの2Fに! と店へ吸い込まれるように入ったこのお店は大当たりの「一般文具店」で、楽しい文具を色々見つけました。
まずは鉛筆。▽
上の消しゴム付きのものは「報紙=新聞」で、新聞紙を木軸代わりに巻いてある鉛筆です。
真ん中と下の格言が刻印されたものは、湯島天神の合格祈願鉛筆を思い起こさせ。この鉛筆は三角軸です。
そしてこちら。▽
うっすら透けている軸内部を見ると、なんと作りはロケット鉛筆。そしてこの商品が、売場のなかなかいい位置を占めている!
芯の太さは2種類あります。
製品名には「電脳答巻専用筆/COMPUTER PENCIL」とあることから、マークシート式試験に使うものの様子。
確かに、マークシート式のような「尖りめの芯を次々に新しく替えたい」場面では、ロケット鉛筆状の作りが活躍しそうですね。
軸もしゃれています。
こちらは小学校の国語ノート。▽
文字を書き取り、形を整えるためものとみられ、1枡に1文字・右に読みかたや補足を書く…って原稿用紙みたいに使うのかしら?! と想像がふくらみます。
その他、街なかでは看板・交通標識・手書きなどでいいなと思った文字をピックアップ。
台湾は文字への美意識が実に高いと感じ、随所にその目的に合った文字選びを行う姿勢が見てとれました。
自分の文字にたいする姿勢はどうなのか。
持ってきた文具はどう役立っているか。改善点はどこにあるか。
そうしたことを、今日からの文具使いにどう反映させるか。
色々と紙に書き留めながら過ごそうと思います!
小日向 京(こひなた きょう)
文具ライター。
文字を書くことや文房具について著述している。
『趣味の文具箱』(エイ出版社刊)に「手書き人」「旅は文具を連れて」を連載中。
著書に『考える鉛筆』(アスペクト刊)がある。
「飾り原稿用紙」(あたぼうステーショナリー)の監修など、文具アドバイザーとしても活動している。