新たな年を迎えて、賀状書きや元日の書き初め、福袋の初買いなどすっかり終えられた頃でしょうか。
小日向は昨年末の思わぬ駆け込み買いが重なって「これは来年買った文房具」とみなしたものがけっこうあり、初買いはしばらくお預けです。未来のことに過去形を使う…ここまできたかという思いがいたします。遠い目。
さて、年始になると毎回思うことに「今年こそは手紙をきちんと書きたい」という目標がありますが、日々の渦に巻き込まれてなかなかうまくいかないのも例年のこと。
そんな折、これなら気軽に一筆したためられそうだなと思うのが「遊び箋」です。
上の写真はNAGASAWAオリジナルデザインのもの4種。製造元は「そえぶみ箋」でもおなじみの古川紙工で、美濃和紙で作られているのが特徴です。
便箋10枚と封筒3枚入りで税込399円という〝ちょっと買い足しておく〟のにぴったりなボリュームも嬉しいところ。
「遊び箋」は古川紙工の製品や、西日本の文房具専門店が集まった「オエステ会」の製品でも様々な絵柄を楽しむことができますが、今回はナガサワ文具センターオリジナルの4つの絵柄を見てみましょう。
この4つの絵柄には、帯に「神戸散歩」と「こうべさんぽ」の2つの表記があります。
言葉は同じで、漢字表記とひらがな表記。
最初に発売された絵柄の名前が、「神戸散歩」と「こうべさんぽ」でした。
そして追って2柄を追加。それらの名前は「神戸散歩 手紙」、「こうべさんぽ Kobe INK物語」となっています。
どうも「神戸散歩」のほうはシックで落ち着きのある絵柄、「こうべさんぽ」は遊び心に富んだポップな絵柄、と分けられている様子。以下で絵柄を見ていただくと、わかりやすいようです。
こちらが「神戸散歩」(左)、「神戸散歩 手紙」(右)です。
確かに落ち着いていて、年齢や性別を問わず使えそうな絵柄と色合いをしています。
左はナガサワオリジナルマスキングテープ「Kobe Maste」の絵柄にもある、神戸港を望む風景が。
右はKobe INK物語でもなじみ深いインクボトルに、万年筆の組み合わせ。
どちらも文面にさりげない華を添えてくれます。
左の「神戸散歩」には、水色のドット横罫が入っており、罫線が主張することなく文字をまっすぐに整えてくれます。
神戸の海を連想させる爽やかな水色が、手紙を書く気分を盛り立ててくれますね!
こちらは「こうべさんぽ」(左)と「こうべさんぽ Kobe INK物語」の絵柄です。
明るく愉快で楽しい!
左は布引ロープウェイや北野異人館の風見鶏、ポートタワーや神戸海洋博物館、そして港の船など神戸アイテムが満載。
そして右はなんと、Kobe INK物語のインクボトルが横罫線になっていて賑やか。
「神戸散歩」「こうべさんぽ」ともに、それぞれ罫線と無地枠があります。
上の写真は、「こうべさんぽ」にURUSHI JAPAN万年筆EF×パイロット ブルーブラックで書きました。
無地の柄には、表裏で縦・横のラインが入ったガイド紙付きなのも嬉しいところです。
この遊び箋、古川紙工の美濃和紙が万年筆インクの描線にほどよい「にじみ」を生んでくれて、文字にやんわりとあたたかな印象を与えてくれます。
手触りのいい和紙の繊維感が、言葉にも表れるようですね。
印刷の風合いは美麗。万年筆インクはパルプ紙に書く時よりも多少色が沈みぎみとなるので、鮮やかなインク色でも読みやすくなるという利点があります。
「こうべさんぽ Kobe INK物語」は、折って小さなものを包む用途にも最適。インクボトルの並ぶ絵柄が斜めに配されるように折ると、躍動感が増すようです。
付属の封筒には、そえぶみ箋でもそうなのですが、パッケージによって「無地のもの」と「粒々が漉き込んであるもの」があるらしく。上の写真下の封筒は無地、上の封筒は漉き込んであるものです。どちらが入っているのかについては規則性はないようで、選ぶさいにお好みのほうにしてみるのも一案です。
さあ、今年こそは手紙をきちんと書けるような心持ちになってきました。
仰々しく構えず、万年筆と紙で遊んでみるくらいの気楽さで、一筆に取り組めそうです。そんな意味も含んでの「遊び箋」という商品名なのかも知れません。
たくさんの言葉を、たくさんの人に。遊び箋で気持ちを届けたいと思います。
今回紹介した商品はナガサワ文具センター公式オンラインショップでお求めいただけます。
「遊び箋 NAGASAWAオリジナルデザイン」
小日向 京(こひなた きょう)
文具ライター。
文字を書くことや文房具について著述している。
『趣味の文具箱』(エイ出版社刊)に「手書き人」「旅は文具を連れて」を連載中。
著書に『考える鉛筆』(アスペクト刊)がある。
「飾り原稿用紙」(あたぼうステーショナリー)の監修など、文具アドバイザーとしても活動している。