文房具の部屋 〜神戸からの手紙〜

コラム Kobe INK物語 特別色「Akashi Museum Gold」 ~明石三原色「地」~

JR明石駅(山陽線)もしくは山陽電鉄明石駅を出て明石城の東西へ伸びる長い石垣に沿うように右に進むと、10分足らずで明石市立文化博物館にたどり着くことができます。

1991年10月に明石海峡を望む高台に開館した明石市立文化博物館は、明石の歴史と人の営みを集めた文化博物館として、明石市民をはじめ国内外の旅行者や歴史好きが遠くからも訊ねて来るスポットになっています。

「地元の伝統を伝える展示物」

道路から見ると裏手にあたる玄関から館内に足を踏み入れると、ロビーには地元明石市市内にある御厨(みくり)神社のお祭りで使用されていた色鮮やかな「ふとん太鼓」と、昭和30年頃まで使われていた明石独特の漁船「ケンサキミヨシ」が訪れる人を迎えてくれます。

「8つのテーマに分けられた展示エリア」

館内は「明石のあけぼの」「大昔の明石」「畿内への入口明石」「明石の焼き物」「明石の農業」「明石の漁業」「明石城と城下町」「のびゆく明石」の8つをテーマにした常設展示からなり、並行して明石とゆかりのあるテーマで特別展も開催されています。

私が訪れた時には残念ながら会期は終了していましたが、2024年の大河ドラマで話題を集めている「源氏物語」に描かれた明石の君にまつわる展示が開催されていました。

魅力溢れる常設展示

「200万年前明石に棲息していたアカシゾウ」

常設展に入ってすぐの「明石のあけぼの」エリアでは、マンモス?を思わせる巨大な2頭の象の復原模型が現れます。

もちろん、この象はマンモスでなく、200万年前の旧石器時代と呼ばれた頃の地層から発掘されたアカシゾウ(アケボノゾウ)の化石から復原されたもので、雄と雌の2体が仲良く並んだ姿で展示されています。動物園で見られる現代の象と比較すると、足がやや短く、肩までの高さは約2メートル、全長約4メートルと、象としてはやや小型の部類に入りますが、天井を貫くように伸びた長い牙を持った復元模型を目の当たりにすると、その巨体な姿には驚きを隠せません。

常設展示は奥に行く毎に時代は進み、旧石器時代から弥生・古墳時代の発掘から見る明石、海と陸との交通の要として重要な拠点となった明石、土と水に恵まれ焼き物文化栄え、さらには、明石海峡に面した町として、新田開発によって農業が盛んとなった明石。

特に漁業においては、明石海峡内の急激に落ち込んだ海底の地形は、荒くて複雑な海流を生み、「明石ダイ」や「明石タコ」など数多くの海の幸に恵まれたことによって発展してきました。

「明石城にまつわる展示」

また、1619年小笠原忠政によって築城された、天守のない明石城にまつわる展示物も多く、明石城についての歴史や資料に触れたいと思うなら、ここ市立文化博物館の「明石城と城下町」エリアが「明石城」に関して有力な展示資料館になります。

これらの常設展示は規模としては大きくはありませんが、とてもコンパクトにまとめられていて、明石の歴史をそれぞれ短編小説のように楽しむことができる博物館となっています。

明石市立文化博物館インクの魅力

Kobe INK物語「Akashi Museum Gold-明石ミュージアムゴールド」は、明石市立文化博物館が館の魅力を伝えられるアイテムを作りたいという思いから、神戸 ナガサワ文具センターの「Kobe INK物語」とのコラボレーションが実現、館内にあるさまざまな展示物の中から、太古のアカシゾウにスポットを当てて、1年以上の歳月を費やして誕生しました。

このインクにはアカシゾウの復元模型から伝わってくるゴールドと、発掘された地層に含まれるグリーンが隠し味のように活かされていて、その絶妙なコンビネーションが太古のロマンを醸し出しています。

インクは、光や紙によって見え方や感じ方が変化しますが、ひょっとするとゴールドやグリーン以外の色がまだ、明石市立文化博物館の展示物に隠されているのかもしれません。

人間がまだ、原生人類になる以前の時代に棲息していたアカシゾウが発掘されたことや、人類の起源を巡って話題となった明石原人など、数多くの遺跡が発掘されたことから、ここ明石は古くから生き物にとって生活しやすい環境だったことがうかがい知れます。

「Akashi Museum Gold」は、明石という土地の太古から現代にいたる、人や動物たちの営みを凝縮したインクとして使い手の想像力をかき立ててくれる「Kobe INK物語」明石三原色の「地」に相応しいインクです。

明石市立文化博物館

開館時間
9:30~18:30(入館は18:00まで)

休館日
月曜日・年末年始

入館料
大人200円/大学高校生150円/中学生以下無料

〒673-0846 明石氏上ノ丸2丁目13番1号
TEL 078-918-5400

公式サイト
http://akashibunpaku.com/

筆者プロフィール

出雲義和・フリーランスライター

文房具を中心に様々なジャンルで執筆活動を行うほか、テレビやラジオにも出演。様々な視点で文房具の魅力や活用術を発信中。
works:雑誌書籍「趣味の文具箱」「ジブン手帳公式ガイド」「無印良品の文房具。」他、web「WEZZY」「マイナビおすすめナビ(監修)」他

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