子供の頃、大好きだった宇宙を舞台にした漫画や小説は、今にして思うとSF(サイエンスフィクション)というよりもサイエンスファンタジーの世界でしたが、それでも夢中になっていたことを覚えています。
それから技術は進歩してハッブル宇宙望遠鏡や小惑星探査機「はやぶさ」などからもたらされた情報から新しい発見があり、かつてのSFだった世界がより身近になったように感じます。
宇宙に対して特別な興味や関心がない人でも、SNSでは10月りゅう座流星群(ジャコビニ流星群)や紫金山・アトラス彗星などの天体ショーがトレンドとして話題になることも多く、誰でもが手軽に宇宙のイベント情報を得られる時代にもなりました。
また秋から冬にかけての季節は空気が澄んで星空が普段より美しく見えるようになり、ペガスス座(ペガサス座)、アンドロメダ座、ペルセウス座、カシオペア座といった馴染みのある名前の星座が同じ天空に一堂に集まり、壮大なギリシャ神話の物語が繰り広げられます。
しかし夜空の星よりも街の灯りの方が明るい都市部では、星空を満喫することは難しいかも知れませんが、住む場所や天候に左右されずこれらの天体ショーが1年を通じて楽しめる場所が明石市立天文科学館です。
明石市立天文科学館
子午線の街のシンボルとして知られる「明石市立天文科学館」は、日本標準時(JST)をさだめた東経135°線上に位置し、1960年(昭和35年)6月10日の時の記念日に開館しました。
日本で初めて子午線(東経135°)が日本標準時に定められたのは1888年(明治21年)のことでした。その後、2度に渡る再測定がなされて、現在の子午線上に天文科学館は完成しました。
館内には、1951年により正確な子午線を測定するために使用されたバンベルヒ子午儀も展示されていて、仕組みはよくわからくても、この小さな装置が地球規模の測定をしたと聞くと心が躍ります。
現役日本最古のプラネタリウム
明石市立天文科学館で1番の人気は、ドイツの名門カールツァイス・イエフ社のモデルで、直径は20メートル、客席数300席を誇る日本最古の現役プラネタリウムです。
さらに2012年8月29日には長寿日本一のプラネタリウムを達成し、それ以降も可動日数日本一の記録も毎日更新しています。
「2001年宇宙の旅」に登場したディスカバリー号のような形をしたプラネタリウムは、そのほとんどがアナログ操作で行われ、ナレーションもすべて館職員の肉声で聞くことができます。
近年は自動音声のデジタルプラネタリウムも登場していますが、観覧者の反応によって話の内容が少しずつ変わるというライブ感もあって、それを目的にこのプラネタリウムに何度も足を運ぶファンもいるそうです。
展望台からの眺望
子午線の中心にそびえる白亜の塔の地上14階には、明石の街を一望できる展望台があり、明石海峡を挟んで正面に淡路島が、また明石海峡大橋の向こうにある大阪湾までの眺望が楽しめるほか、フロアをぐるっとひとまわりすることで明石の360°パノラマ風景を見ることもできます。
また、最近では明石市内の電波塔に年に2回、夕日が重なり「夕焼けパンダ」と呼ばれる現象が見られることも、SNSで話題になっています。
時と宇宙の展示
明石市立天文科学館3階には時と宇宙をテーマにした展示が並びます。
宇宙観測の歴史や星(恒星)の一生、惑星探査機の模型、ブラックホール体験など最新の情報を元にした資料や映像、また時のギャラリーでは時間にまつわる資料や様々な日時計のコレクション、月の満ち欠けの仕組みがわかる「三球儀」などの展示があり、時間を忘れてしまうほどの楽しい展示空間になっています。
これらのコンテンツがひとつに場所に集まり、子どもから大人まですべての人が楽しめる施設ということで、2013年に「市民が選ぶ明石のたからもの」第1位に輝きました。
Kobe INK物語特別色「COSMO BLUE135」
生まれて初めて満天の星を見上げた時、美しいと同時に畏怖のような感情を覚えました。それらの感情は、科学の分野でありながら、ロジックだけでは割り切れない「神秘」のベールの向こう側にある世界をより魅力的な存在にしているのかもしれません。
Kobe INK物語の明石三原色として生まれ変わった「COSMO BLUE135」は、神秘的な宇宙への夢と浪漫を内包し、無限に広がる深淵のブル-を感じます。
大人になっても夢を忘れない、そんなすべての人に届けたい万年筆インクです。
明石市立天文科学館
開館時間
9:30〜17:00(入館は16:30まで)
休館日
月曜日・第2火曜日
観覧料
大人700円(高校生以下無料) プラネタリウム観覧も含みます。
〒673-0877 明石市人丸町2-6
TEL 078-919-5000
公式サイト
http://www.am12.jp/
筆者プロフィール
出雲義和・フリーランスライター
文房具を中心に様々なジャンルで執筆活動を行うほか、テレビやラジオにも出演。様々な視点で文房具の魅力や活用術を発信中。
works:雑誌書籍「趣味の文具箱」「ジブン手帳公式ガイド」「無印良品の文房具。」他、web「WEZZY」「マイナビおすすめナビ(監修)」他