日本の春は、桜の開花から始まるといってもいいほど、日本人は桜が大好きです。
開花の時期は地方によって異なりますが、この季節になると日本列島が北から南まで、桜の話題でテレビやラジオ、新聞を賑わせます。
神戸にも、桜も名所は数多くありますが、神戸市中央区にある生田川公園は、桜と川の美しいロケーションが同時に楽しめる場所とした、神戸市民からひときわ親しまれている「桜の名所」です。
そんな生田川公園は、神戸の玄関口JR新神戸駅の南エリアに位置して、布引橋から阪神高速付近までの川沿いは「ぬのびき花街道」とよばれて、川沿い約1.6kmにソメイヨシノを中心におおよそ150本の桜が植えられて、多くの人が春の訪れを祝うかのように集います。
昨年の春、ここ生田川公園へ訪れたとき、新入学を迎える女の子がお母さんと一緒に来ていて、まだ慣れていないランドセルを背負って桜の木の下で写真を撮っている光景に出会いました。彼女にとって、おそらく生涯の忘れることのない想い出の1ページなったのではと思います。そんな生田川公園の桜は、市民の生活にも深く関わっているようです。
「生田川さくら万年筆」
今回の「生田川さくら万年筆」の記事を書くに際して、Kobe INK 物語「生田川サクラ」インクと、昨年見た生田川公園の花を思い出しながらイメージを膨らませてきました。見本の万年筆が手元に届いた時、あまりの可愛らしさと桜の再現があまりにもリアルに感じて、ひと足早く手のひらの中に春が訪れたようでした。
普段から、手帳と一緒に書くコトを楽しむ女性にターゲットをしたというコンセプトに思わず納得、文房具に強いこだわりをもっていない妻が思わず「可愛い!」と口にするほど、女性の心をグッと掴む魅力が込められています。
掌の中の春
そっと掌のなかに収まる「生田川さくら万年筆」をじっくりと見てみると、天冠と尻軸には、若葉をイメージしたグリーン系を配色、キャップ部分はメタシャインピンクという透明感のある樹脂を採用し、軸にはソメイヨシノをサクラ色で再現して、日本の春をこの万年筆1本の中に凝縮した仕上がりです。
この配色は、蕾がふくらみ、花を咲かせ、やがて散って次の若葉が芽吹くまでの、短い花の一生を表現しているかのようです。
美しも儚い桜の花の生涯は、散って終わるのではなく、次への世代へ命をつなぐ力強さといったことが、私たち日本人の心を強く惹きつける魅力なのかもしれません。
男性だって使いたい「生田川さくら万年筆」
さてさて、桜色(ピンク)というと、今回のコンセプトにあるように、女性向けというイメージがありますが、ソメイヨシノをモチーフにした上品な桜色は、おとなの男性にも遜色なく似合う気がします。
今風に表現するなら、ダンディーなイケオジがジャットの内ポケットにそっと忍ばせておくと、それだけで、おしゃれなアクセントに見えることでしょう。
また、全長110mmのコンパクトなボディは、ワイシャツの胸ポケットから不必要に飛び出すこともなく、スマートに収まるかっこよさも見逃せないポイントです。
また、自分の手には大きいと感じる人には、キャップを外した状態で、少々短いかなと思う人はキャップを尻軸に繋げれば、一般的なボールペンの長さとほぼ同じ140mmになるので、男女分け隔て無く使えます。
加えて、ペン先には、ナガサワ文具センターオリジナル万年筆のシンボル風見鶏のエンブレムが刻まれて、14金の滑らかで心地よい筆記を約束してくれます。
新しいスタートの1本に
春と桜は、新年度がはじまるこの季節にもっともよく似合う象徴で、寒い季節を乗り越えた先にある、希望といったイメージを包み持っています。
高度成長期のような、景気の良さは感じない令和の時代ですが、それでも新しいシーズンのスタートに「よし、気持ちを新たに頑張ってみよう」という気にさせてくれるのも、この春という季節の特徴です。
可愛らしく、それでいて命の営みを感じさせてくれる「生田川サクラ万年筆」は、自分の毎日を楽しくしてくれる1本として、また新しいスタートラインに立つ大切な人へのプレゼントにも相応しい万年筆といえそうです。
筆者プロフィール
出雲義和・フリーランスライター
文房具を中心に様々なジャンルで執筆活動を行うほか、テレビやラジオにも出演。様々な視点で文房具の魅力や活用術を発信中。works:雑誌書籍「趣味の文具箱」「ジブン手帳公式ガイド」「無印良品の文房具。」他、web「WEZZY」「マイナビおすすめナビ(監修)」他