文房具の部屋 〜神戸からの手紙〜

コラム 神戸ミュージアムリンク 菊正宗酒造「KIKUMASA Burgundy」と白鶴酒造「HAKUTSUTU Sake Blue」

江戸時代の後期、西暦1864年に神戸海軍操練所を創設した、江戸幕府海軍奉行の勝海舟は神戸を高く評価した人物で、自ら土地まで購入したというエピソードが今も残っています。
その後、神戸は世界に開かれた街として、靴(明治22年)・映画(明治29年)・ジャズ(大正12年)など、多くのファッションや芸術といった文化発祥の地ともなりました。

そういった新しい文化を発信したこともあり、京都や奈良などの古都と比較するとまだまだ歴史の浅い、ヨーロッパからみるアメリカのようなイメージを持つひとが少なからずいるようです。
そんな神戸ですが、幕末の頃よりも以前から、日本を代表する「日本酒」という文化をリードしてきました。
2023年NHKの大河ドラマの主人公、徳川家康公が天下統一を果たし、世の中が太平へと向かう1624年(この時は3代目徳川家光公の時代)に、神戸・灘で酒造りがはじまったとされています。
が、地元の伝承を紐解いていくと、それよりもはるか以前の1300年頃からすでに酒造りがはじまっていたようで、京都や奈良に及ばないまでも、十分歴史ある土地だということがわかります。

神戸という土地が生んだ奇跡

その当時、日本酒と言えば「濁り酒」だった時代に、灘で生まれた「清酒」が江戸で大ブレイクできたのは、神戸という土地が大きく関係していました。
六甲山から吹き下ろす「六甲おろし」は、酒造りに適した良質の米を育み、同じく六甲山から流れる急流は水車を使った米つきの動力となって、生産効率を向上させました。
そしてなによりも、酒造りに適した「宮水」と呼ばれるミネラルやリンにカリウムを多く含んだ伏流水がこの地あったことで、灘の酒「清酒」は日本酒の新しいスタンダードとなりました。
加えて、西宮が港として、樽詰めされた日本酒をスピーディに江戸へ送り届ける役目を果たしたこともその要因のひとつで、これらの条件が奇跡的に揃ったことが、灘の「清酒」は日本各地へ、さらには「日本酒」というブランドを、世界へと広める結果となりました。
現在の神戸市灘区・東灘区から西宮に至る東西約12Kmの海岸地域にある酒所、西郷・御影郷・魚津郷・西宮郷・今津郷は「灘五郷」と呼ばれていて、ここから出荷される日本酒は全国の25%のシェアを占めるに至り、現在も日本酒・清酒業界を牽引し続けています。

KOBE Museum Link ×Kobe INK

さて、ここからが文具のお話しです。
神戸各地にある美術館や博物館とナガサワ文具センターがコラボして誕生した「Kobe INK物語」の「KOBE Museum Link」シリーズから、2023年7月に新しい2色が発売になりました。

菊正宗酒造「KIKUMASA Burgundy」

灘五郷のひとつ魚津郷で、1659年(万治二年)に創業した菊正宗酒造は、創業360年を迎えた2019年に、酒造記念館の歴史と伝統を表す深みのあるエンジ色をコーポレイトカラーに採用しました。
菊正宗酒造「KIKUMASA Burgundy」は、そんなエンジ色をベースにマルーンとは少し趣の異なる高貴な紫を含んだ万年筆インクに仕上げました。

白鶴酒造「HAKUTSUTU Sake Blue」

1743年(寛保三年)に創業した白鶴酒造では、1979年にCIシステム(コーポレイトアイディンティ)の導入で制定された、白い鶴が羽ばたく背景に使われている「青」を基調としたコーポレイトカラーを採用しました。
白鶴酒造の「HAKUTSUTU Sake Blue」は、そんなコーポレートカラーを大胆に、そして誰もが思い浮かべることができる「青」を、万年筆ファンを酔わせる1本のインクに仕立てました。

どちらも残念ながら「呑むこと」はできませんが、日本酒ファンには「今夜あたり一杯」とそんな気持ちにさせてくれる万年筆インクです。

灘のお酒とナガサワ文具センター

「清酒」という言葉は、日本酒=濁り酒(どぶろく)が当たり前だった時代に、清く澄んだお酒という意味で、そう呼ばれるようになりました。
そんな灘の清酒が濁り酒に代わり、江戸以降日本酒の歴史を大きく変えて、現在では世界の日本酒「SAKE」として、海の向こうでも愛されるようになりました。
そんな話を聞いていると、2007年頃まで万年筆インクといえば「ブルーブラック」「ブラック」が当たり前だった文具業界で、いち早くオリジナルカラーインク「Kobe INK物語」を生み出し、「ご当地インク」というカテゴリーを日本各地に広めて、インクブームの礎をつくった「Kobe INK物語」は、神戸からまた新しいスタンダードを世界に広めました。
そんなナガサワ文具センターは、例えるなら現代の優れた杜氏(とうじ)なのかもと思えてきました。

筆者プロフィール

出雲義和・フリーランスライター

文房具を中心に様々なジャンルで執筆活動を行うほか、テレビやラジオにも出演。様々な視点で文房具の魅力や活用術を発信中。
works:雑誌書籍「趣味の文具箱」「ジブン手帳公式ガイド」「無印良品の文房具。」他、web「WEZZY」「マイナビおすすめナビ(監修)」他

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