Affection~素敵な関係~
旅先で知り合ってから、かれこれ30年以上も付き合いが続いている友人がいます。
一緒に山歩きや旅行をしたり、我が家に遊びに来てはひと晩中お酒を呑んだりと、いまではすっかり家族ぐるみの付き合いになっています。
気の置けないフランクな関係を「友情」以外の言葉で、ぴったりくる表現はないかと、探していたら「Affection」という言葉を見つけました。
「LOVE」という表現は主に恋人や配偶者をさす場合に用いられますが、親兄弟や親しい友人など穏やかな愛情を意味する「Affection」はぴったりな言葉だと感じています。
そんな「Affection」という名前を冠した、ナガサワ文具センターの新しい万年筆ブランドが2023年8月25日、Kobe INK物語の「京町レジェンドブルー」をボディーカラーを採用した万年筆が発売になりました。
京町レジェンドブルー
Kobe INK物語「京町レジェンドブルー」はシリーズ50番目を飾るメモリアルな万年筆インクであると同時に、その名の示す通りナガサワ文具センターの「レジェンド」が詰まったインクとして2015年に発売されました。
ひとつ目のレジェンドは、2012年に神戸市立博物館で開催された「マウリッツハイス美術館展」において、Kobe INK物語シリーズはじめてのコラボレーションインクとして登場した特別限定色「フェルメールブルー」は、発売と同時に大きな話題となりました。
これを期に、美術館や学校に加えて鉄道会社などとコラボレーションした特別限定色がつぎつぎと誕生し、そのきっかけとなった「フェルメールブルー」は万年筆インクファンの間では伝説(レジェンド)となりました。
そして、もうひとつのレジェンドは、神戸の人たちが「文房具の店と言えばナガサワ文具センター」と、言われ慕われるようになった旧センター街店もまた、神戸市立博物館と同じく神戸市中央区京町エリアにありました。
神戸に文房具の文化を広めたナガサワ文具センター旧センター街店と、Kobe INK物語はじめての特別限定色という歴史を刻んだ”レジェンド”を、京町の地名にちなんで生まれたインクが「京町レジェンドブルー」でした。
もうひとつのレジェンド
そしてオリジナル万年筆「Affection」には、もうひとつの素敵なレジェンドが添えられています。
神戸のシンボルとして知られる「風見鶏」は、ナガサワ文具センターのオリジナル万年筆のペン先を飾るシンボルにもなっています。
このペン先に刻印された風見鶏のデザインはいまから25年余り前、セーラー万年筆株式会社で「長刀研ぎ」という特殊ペン先を考案して2007年には現代の名工にも選出された万年筆界のレジェンド長原宣義さんと、ナガサワ文具センター四代目社長長澤基夫さんが、万年筆談義を交わしている中で、考案されたと伝えられています。
その時のデザインが、ナガサワ文具センターオリジナル万年筆のペン先を飾り、今でも多くの万年筆ファンから親しまれるアイコンになりました。
「Affection」3つのモデル
さまざまなレジェンドを秘めたオリジナル万年筆「Affection」は、初心者から上級者、手にフィットするサイズ、デスクや外出先など、用途やシチュエーションなど、好みや使用する環境
に合わせて選んでもらえるように3つのサイズバリエーションを用意しました。
万年筆ファンには、キングオブ万年筆でおなじみの太軸「キングプロフィットモデル」、長時間の筆記でも疲れにくい「プロフィットFLモデル」、初心者にも安心しておすすめできるプロフィットシリーズの原点ともよべる「プロフィットスタンダードモデル」と、男女を問わずどのユーザー層にも満足をしてもらえるラインナップが並びます。
神戸愛にあふれたオリジナル万年筆「Affection・京町レジェンドブルー」
ナガサワ文具センターのKobe INK物語は、神戸の街や文化と自然を表現した「ご当地インク」という新しいカテゴリーを産み、世界に先駆け新しいコンテンツを確立させました。
それだけでも、業界に刻んだレジェンドといえますが、ナガサワ文具センターはそれすらもまだ途上として、文房具を通じて神戸愛を伝えるプロダクトを作り続けています。
新しい「Affection」シリーズは過去のこだわるのではなく、ナガサワ文具センターをこよなく愛してくれるユーザーと一緒に新しい未来を紡いでいきたい、そう語りかけているに思えます。
筆者プロフィール
出雲義和・フリーランスライター
文房具を中心に様々なジャンルで執筆活動を行うほか、テレビやラジオにも出演。様々な視点で文房具の魅力や活用術を発信中。
works:雑誌書籍「趣味の文具箱」「ジブン手帳公式ガイド」「無印良品の文房具。」他、web「WEZZY」「マイナビおすすめナビ(監修)」他