神戸松蔭女子学院のチャペルとパイプオルガン
神戸松蔭女子学院は、1892年 キリスト教の精神に基づき、明朗・自由さ・近代的な国際センスを持つ女性を育む場として設立された、神戸を代表する伝統のある学院です。
40年前、神戸北野エリアにあった学舎を現在の場所に移転するにあたり、当時竹中工務店におられた建築家永田祐三氏は、ヨーロッパ建築を学び、城塞都市のコンセプトから、大学の中央にチャペルを配しました。
このチャペルの音響をもっとも美しく再現するために、化学の教授を務めていた平島達司先生が中心となり、竹中工務店の技術研究所と、ヨーロッパにあるおよそ90もの教会の音響を実際に測定し、集められたサンプリングデータを元に設計されました。
そしてオルガン建造の第一人者フランスのマルク・ガルニエ氏が、日本では珍しい18世紀のフランス・クラシック・オルガンの流れを組むこのパイプオルガンを設計し、1983年にこちらのチャペルに奉献されました。
2023年11月3日、パイプオルガン奉献40周年を記念した演奏会がチャペルで開催されたのを機に神戸松蔭女子学院にお邪魔しました。
チャペルに一歩足を踏み入れた瞬間に、特別な宗教観を持ち合わせていない自分がすぐそばに神様の存在を感じてしまうほどの神聖な空間がそこにあり、2068本ものパイプで構成されらパイプオルガンが奏でる演奏は、荘厳という言葉が相応しいチャペルの中で、音楽が空から舞い降りてきて人々を優しく包んでくれているようでした。
さらに、チャペルの白い壁には、旧約聖書の「光あれ」から始まる光・秩序・救済の物語が東に、そして西側には「エデンの園」から始まる闇・混沌・堕落の物語を55枚のステインドグラスを使い描かれています。
幅43.5mに渡り並べられたステインドグラスは、太陽の位置によって壁やフロアに美しい光を映し出します。
姫路在住の作家・立花江津子氏が描き出したこのステンドグラスもまた、パイプオルガンと同様にこのチャペル空間を構成する重要な役割を担っていました。
Kobe INK物語 特別色 チャペルインク
Chapel Oak(チャペルオーク)
1983年に奉献された美しい響きを奏でるパイプオルガンのために、設計された神戸松蔭女子学院大学のチャペル。
その場所に相応しい気品と木の温もりを感じさせるパイプオルガンのオークブラウンで再現した「チャペルオーク」は、チャペルの雰囲気と美しいパイプオルガンの音色までもが伝わってきそうなインクです。
Chapel Emerald(チャペルエメラルド)
チャペルに張り巡らされた55枚のステインドグラスと太陽の光が描き出す光の芸術は、時間とともにその色を変化させていきます。午前中の太陽がその1枚を照らしチャペルに映し出した美しい透明感のあるエメラルドグリーンの光を「チャペルエメラルド」インクは見事に再現しています。
チャペルインクの魅力
パイプオルガンは、その構造や大きさ故に手軽に家庭で演奏を楽しめる楽器ではないために、あまり馴染みのないように思えますが、神戸に住む人、あるいは観光で「神戸ルミナリエ」に足を運んだことがある人なら、このパイプオルガンの音色を耳にしたことがあるはずです。
あの美しい「神戸ルミナリエ」の幻想的な光の空間の中で流れていた音楽は、この神戸松蔭女子学院のパイプオルガンで演奏・収録したものでした。
また、今回のパッケージには、チャペルへのこだわりが隅々にまで敷き詰められて、思わず「ジャケ買い」したくなるような美しいデザインも「チャペルインク」の魅力になっています。
筆者プロフィール
出雲義和・フリーランスライター
文房具を中心に様々なジャンルで執筆活動を行うほか、テレビやラジオにも出演。様々な視点で文房具の魅力や活用術を発信中。
works:雑誌書籍「趣味の文具箱」「ジブン手帳公式ガイド」「無印良品の文房具。」他、web「WEZZY」「マイナビおすすめナビ(監修)」他