もくじ
お手入れ、どうしてますか?
みなさまこんにちは、ナガサワ文具センターの竹中です。
万年筆のお手入れについて、そういえばちゃんとブログを書いたことがないなあと気付きました。
実は少し前にインスタライブの配信はしているので、よければこちらもご覧くださいね。
万年筆の仕様を知る
両用式か本体吸入式か
まず洗浄をする上で知る必要があるのは、その万年筆が両用式か本体吸入式かということ。
それによって、どこまで本体を分解するのか?が変わってきます。
両用式とは
カートリッジもしくはコンバーターが使用できる万年筆。
現行の万年筆はほとんどがこの仕組みになっています。
出先などでインクの交換をしたい方はカートリッジ、ボトルインクを使いたい方はコンバーターとお好きな用途やインクの色に合わせてどのようにインクを充填するか選ぶことができます。
本体吸入式とは
最近、特に国産メーカーにおいてはモデルが少なくなってきましたが、本体にダイレクトにインクを吸入する万年筆。
有名なメーカーでいうと、モンブランやペリカン、アウロラなどに、この仕様の万年筆が多く存在します。
両用式と比べるとインクの吸入量が多く、たっぷり書きたい方には特におすすめ。
ただこの仕様になると基本的には本体が分解できないので、初めての万年筆なら両用式の方が無難です。
早速洗ってみる
で、竹中の私物を3本持ってきました。
NAGASAWA ギアスケブラックとPILOT ヘリテイジ912、これはどちらも両用式で今はコンバーターを使っています。
そして本体吸入式のTWSBI ECO。
早速洗っていきましょう。
?洗浄の頻度ってどのくらい?
基本的には2〜3ヶ月に1回ほどしていただければ十分ですが、万年筆の使用頻度にもよります。
万年筆はその仕組み上、使わなければペン先やペン芯でインクが固まってしまう筆記具。
一番のメンテナンスは何よりも「毎日使うこと」です。
1ヶ月以上使わないという場合は、インクを抜いて保管しましょう。
2日や3日に1回使うようでしたら、2ヶ月に1回洗ってあげると永く使っていただけますよ。
両用式
まずは両用式から。
カートリッジ式の場合は、カートリッジを抜いてゴミ箱へ。
基本的に再利用はしないようにしてくださいね。
中にインクが残っている場合、ゴミ箱の中が大惨事になる可能性が高いため、私はいつもセロテープでさし口に封をしてしまいます。
コンバーターの場合は、インクを吸入する要領でお水を出したり入れたりしましょう。
出てくる水に色がつかなくなってきたら、コンバーターを抜きます。
カートリッジの場合もコンバーターの場合も、この首軸パーツまで分解してから洗浄しましょう。
コップにお水をはって、そこへドボン。
コンバーターも一緒に入れておくとなお良しです。
?流水やお湯じゃなくていいの?
稀に受ける質問ですが、大丈夫。
万年筆インクは水溶性のためお湯じゃなくてもちゃんと溶けます。
また、流水で洗う場合はそのままうっかり排水溝へ流されて…というパターンもあるので、あまりオススメしません。
定期的な使用と洗浄をしている場合は、一晩つけておけば十分綺麗になります。
ちょっとインクが固まっている気配のするときは、お水を交換しながら数日浸けておきましょう。
もう大丈夫かな、と思ったらペン先を優しくティッシュで拭いて、組み立て直して完了。
すぐに使うときはインクを入れましょう。
お水が完全に乾ききっていない場合は、書き始めが少し水っぽいかもしれません。
使ううちに戻ってきますが、気になる場合はしっかり自然乾燥させてからインクを入れて使い始めてくださいね。
!注意点!
首軸が白いものはインクの色に染まりやすいので注意が必要です。
比較的インクの色が出てきやすいつけたては、頻繁にお水を交換してあげるなど工夫しましょう。
本体吸入式
そして次は本体吸入式の場合。
先ほどのコンバーターと同じく、インクを吸入する要領でお水を出し入れします。
基本的に本体吸入式の万年筆は分解ができません。
首軸を取ろうとするとポキッと折れてしまうこともあるので、気をつけてくださいね。
お水に色がつかなくなったら完了。
両用式よりも中にお水が残りやすいので、しっかり乾かすことをオススメします。
万年筆を丸ごとお水につけると、ピストン機構の後ろ側(尻軸側)にお水が入ってしまうことがあるので基本的にはペン先から首軸あたりまでだけにしておくことがオススメです。
大切な万年筆、たくさん使ってあげよう
自分だけの大切な道具である万年筆。
唯一無二の相棒を永く使うための一番のメンテナンスは「毎日使うこと」です。
毎日は難しくてもたくさん使ってあげて、たまに洗浄して労ってあげてくださいね。