小日向京のひねもす文房具

小日向京のひねもす文房具|第百九回「NAGASAWA Kobe INK物語×銀座 伊東屋 銀座ゴールドセピア」

小日向京のひねもす文房具|第百九回「NAGASAWA Kobe INK物語×銀座 伊東屋 銀座ゴールドセピア」

2017年9月10日、日本東西の老舗文具店・銀座伊東屋とナガサワ文具センターのコラボレーションという文具界に記念すべきインクが発売となりました。
そちらが上の写真の「Kobe INK物語 銀座ゴールドセピア」です。
昔の銀座 伊東屋店舗写真が用いられたボックスも素敵!!
そして何より、これまで梅田茶屋町や明石など神戸のエリアを超えたインクを発表してきたKobe INK物語シリーズのなかでも、東へひとっ飛びの「銀座」をモチーフにしたところに驚きです。どのような銀座を描いているのでしょう。
さっそく2本の万年筆に、インクを注入しました。

小日向京のひねもす文房具|第百九回「NAGASAWA Kobe INK物語×銀座 伊東屋 銀座ゴールドセピア」

まず入れたのは、プラチナ #3776センチュリー・シャルトルブルー×ゴールドの字幅B。
センチュリーは当初ゴールドペン先が発売になったあと、ロジウムペン先、ピンクゴールドペン先と種類が増えて、いずれの素材でもこのうえなく印象的な書き味を約束してくれる万年筆ですが、ひとしきり本数を増やしたところでゴールドペン先に立ち返ると、その心地良く弾力のある軟らかさを再認識します。そこへきて、太字のB。このまろみとキレ味あふれる筆感の虜となっていらい、ブルーブラックインクを入れて日々濃淡を楽しんでいました。
これは銀座ゴールドセピアを味わう絶好のペン先なのでは…と思い、飾り原稿用紙に走らせてみたところ、深みのあるゴールドセピアが紙面に広がり。なんと優しく凛としたセピア色なのか! 日増しに過ごしやすくなってきた、秋を迎えるこの季節にもぴったりです。

小日向京のひねもす文房具|第百九回「NAGASAWA Kobe INK物語×銀座 伊東屋 銀座ゴールドセピア」

続いて、中屋万年筆 シガー・十角ツイスト 碧溜のゴールドの字幅 中軟。
こちらは軸の漆色がインク色にしっくりくると想像し入れてみたもので、軸との色合わせも上々なところ、この中屋特有の中軟のしなりがインクの色みとベストマッチ。
中軟の抑揚のついた細〜中字から流れ出るインク色は、上のセンチュリーの太字よりも淡く現れています。

1色のインクを様々な濃淡で味わい尽くそうという時に、何種類かの字幅や万年筆メーカーそれぞれのペン先の特性を活かして使い分けることは実に意義深いものです。
その使途に小日向はブルーブラックを多用していますが、銀座ゴールドセピアのペン先によって大きく変わる色彩は「まるでブルーブラックのような振り幅」と感じます。
そこで、今後あと数本の万年筆に銀座ゴールドセピアを入れたい! と意気込んでいます。

御存知の通り銀座は道が碁盤の目のようになっていて、北南を貫くメインストリートである中央通り(国道15号)の横へ目盛りをつけたように一丁目、二丁目、三丁目…と八丁目まで続いています。
よって銀座を話題にする時には「それ何丁目?」と訊くとあらかたの場所がわかる格好で、中央通りと晴海通りが交差する銀座四丁目交差点を境に、
◆ 一丁目〜四丁目→伊東屋側か
◆ 五丁目〜八丁目→銀座SIX側か
と(文具好きは)大雑把に識別することになります。
銀座 伊東屋が建つ場所は、銀座二丁目。この周辺は地下鉄有楽町線の銀座一丁目駅もあり、北上すればほどなく京橋に入り、近くにはカランダッシュ ブティックもあって、ナガサワ文具センターのイベントでもおなじみのビンテージ万年筆店・ユーロボックスのある奥野ビルにも気軽に立ち寄れるエリアです。
この近辺の「銀座四丁目交差点まわりの喧噪から離れてほっと落ち着く気分」が、インク色のゴールドセピアに表れているなと感じます。
そして、さあ銀座 伊東屋に行こう…という気持ちの高鳴り。万年筆を見ようか、鉛筆を見ようか、Kobe INK物語の揃う3階も見ていこう…と向かう足取りも華やかになる、あの感じはまさしくゴールドセピア。
インク箱の過去の伊東屋店舗写真のノスタルジック感もあいまって、銀座 伊東屋とその周辺を歩く気持ちが存分に表現された色だな…と感服しています。

小日向京のひねもす文房具|第百九回「NAGASAWA Kobe INK物語×銀座 伊東屋 銀座ゴールドセピア」

写真は、ライフのマージンノート・Lライティングペーパーホワイトに上の万年筆で書いたものです。
万年筆のペン先だけでなく、紙によっても様々な色合いを描いてくれる銀座ゴールドセピアは、手紙から手帳、日記まで様々に登場頻度を増すことでしょう。

銀座ゴールドセピアは銀座 伊東屋だけでなく、ナガサワ文具センターでも好評販売中。ただ、発売いらい人気で本数は少なくなってきているそうです。
深まる秋へ向かうための1色に、加えてみてはいかがでしょうか。

小日向 京(こひなた きょう)

文具ライター。
文字を書くことや文房具について著述している。
『趣味の文具箱』(エイ出版社刊)に「手書き人」「旅は文具を連れて」を連載中。
著書に『考える鉛筆』(アスペクト刊)がある。
「飾り原稿用紙」(あたぼうステーショナリー)の監修など、文具アドバイザーとしても活動している。

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