NAGASAWA136周年記念限定万年筆

小日向京のひねもす文房具|第百五十一回「ペリカン スーベレーン M300 万年筆 緑縞」

小日向京のひねもす文房具|第百五十一回「ペリカン スーベレーン M300 万年筆 緑縞」

第百四十五回で0.7mm芯ペンシル・D300について、第百四十九回でボールペン・K300について書いたペリカン スーベレーン 300シリーズ。今回の話はその万年筆・M300の話です。
そう…300サイズにぴったりの3本挿しペンケース・TGS-31にまずD300ペンシルが入り、ほどなくしてK300ボールペンが入り、残る1本のスペースにM300が入って、ついにペンケースには3本の300が揃いました。

小日向京のひねもす文房具|第百五十一回「ペリカン スーベレーン M300 万年筆 緑縞」

その絶景に、感涙することしきり。とはいえこれまで万年筆とボールペンでも同じ型や軸色で揃えることはなかった私でしたが、小さなものなら話は別。同じものがあればあるだけ愛らしく感じます。
3本を並べて見てみると。▽

小日向京のひねもす文房具|第百五十一回「ペリカン スーベレーン M300 万年筆 緑縞」

愛らしい! 圧倒的に愛らしい!
…と騒いでばかりで、なかなかM300にインクを入れて書くところまで行き着かなかった次第です。

さてこのM300、キャップをしたところは全長110mm・軸径最大約10mmと小さな小さな万年筆なのに、他のスーベレーン万年筆と同様のピストン吸入式であるところに驚かされます。
この小ささで吸入式なんて…!
その動きもスムーズ。これはインク補充がますます楽しい…!
インクは、軸の緑縞に合わせてペリカン エーデルシュタインのアベンチュリンを選んでみました。
ふだんから気に入っているジェードと悩んだものの、緑縞に似た「より緑」ならアベンチュリンも合うのではないかと思い。書いてみたところはこの通りです。

小日向京のひねもす文房具|第百五十一回「ペリカン スーベレーン M300 万年筆 緑縞」

字幅はM、用紙は第百三十四回でテーマにした、満寿屋×NAGASAWAオリジナル システム手帳 マイクロ5リフィルの原稿罫・六甲グリーンです。

「M300のペン先は、M1000のように軟らかい」という話は聞いていましたが、なるほどこれは軟らかい。また、軟らかいといってもプラチナ万年筆の細軟や中軟のような「ペンポイントからびょんびょん波立つしなり」とは異なり、何かこうペン先の付け根からペンポイントにかけて弾力がある感覚で、たとえば「大」という字を書いてみた時の2画目と3画目で顕著に現れます。
小日向のこれまでの手持ちのスーベレーンはM400とM800で、その2つは硬めのペン先をしており、感覚としては「ペン先の付け根から先端へと向かう部分までは安定してペン芯に寄り添い、先端からペンポイントにかけて筆圧に反応する」というものでした。
よって同じスーベレーンでもM300は、他のシリーズと使い分ける楽しみがぐっと広がります。

小日向京のひねもす文房具|第百五十一回「ペリカン スーベレーン M300 万年筆 緑縞」

写真は字幅Mのペンポイントを横から見たところです。
舶来万年筆と国産万年筆には、字幅記号がずれているのでは?! と思うほどの違いがあり、舶来もののFは国産もののMくらいあると言って良いだろうし、国産もののFやEFなどになると舶来ものには「そんな細い字幅はない」となりがちなところ、このMも期待を裏切らずBのように太く、ペンポイントの大きいことといったら!
このぽってりとペン先から下に落ちるようなペンポイントが、紙へ触れた時に筆圧を繊細に受けて、独特な書き味の軟らかさを生むのだろうか…と書きながら感じました。
今後、様々な紙に書き綴りながら、自分の手に合ったペンポイントに育てていきたいと思います。

万年筆売場のショーケースの中で、その小ささがひときわ存在感を増しているスーベレーン M300。
ぜひ手に取って、その愛らしい小ささと個性的な書き味をお試しください!

小日向 京(こひなた きょう)

文具ライター。

文字を書くことや文房具について著述している。

『趣味の文具箱』(エイ出版社刊)に「手書き人」「旅は文具を連れて」を連載中。

著書に『考える鉛筆』(アスペクト刊)がある。

「飾り原稿用紙」(あたぼうステーショナリー)の監修など、文具アドバイザーとしても活動している。

小日向京のひねもす文房具







小日向京のひねもす文房具|第百五十一回「ペリカン スーベレーン M300 万年筆 緑縞」