ついに春到来。今年も桜の花見を満喫なさったでしょうか。
桜→新生活→文具。
この思考連鎖は例年のことで、たとえ何も新生活は始まってないよという年にも、何か新たな文具を加えたくなります。とりわけ手帳など──特にシステム手帳とかノート的にも使えるし…という考えのもと──何か日々を盛り立ててくれるものはないだろうかと売場に立ち寄ること多数。そんな春にぴったりのアイテムのひとつが、今回話題にするあたぼうステーショナリーのシステム手帳バインダー、「HIRATAINDER(ヒラタインダー)」です。
あたぼうステーショナリーといえば先週の第八十六回に書いた「飾り原稿用紙」などの発売元で、2015年の発売時から小日向が製品開発をともに行うメーカーです。
だから勧めるんじゃない? と思われてもさにあらず。そもそも、あたぼうさんと知り合うきっかけとなったのが、このHIRATAINDERでした。
左右両側に綴じ穴があり、システム手帳の見開きのどちら側にも配置できる予定管理リフィル「スライド手帳」がすでに好評を博していたあたぼうさんは、「そのリフィルを綴じるためのバインダーを製作したい」と開発を進めておいででした。
手帳イベントでその試作品を見て「これは良い!」と感銘を受けた小日向は、初対面からその熱い気持ちを吐露。あたぼうさんに絶えず御声援を申し上げ、その発売を楽しみに待ちました。
HIRATAINDERが製品化して発売となったのは、2013年12月のことでした。当初はA5サイズのみの展開で、バイブルサイズが加わったのは2015年3月です。まずはA5サイズと同様のリサイクルレザーが使われた素材での発売となり、追って4月に登場した本革版がこの「type G」でした。
このHIRATAINDER、とにかくバインダーを開いた時に徹底して平たい! 商品名の通りです。
現在でこそ180度開いた時の平たさを追究したバインダーは数々思い当たるものですが、システム手帳で「軽くて薄く、パリッとした表紙」の「机に吸いつくように平たく開くバインダー」をいち早く製品化したのは、あたぼうさんであると記憶します。それ以前にも180度平たく開くシステム手帳バインダーは時折存在しましたが、表紙は厚手で全体に重量感があり、軽快に持ち歩く時には諦めざるを得ないものがほとんどでした。
小日向が「軽快に持ち歩く時」のシステム手帳バインダーに求める要素は、以下です。
◆ そういう時には表紙のポケット収納類は必要なく、薄い表紙であること
◆ その薄い表紙はパリッとしたプレート状であること
◆ 軽くて劣化しづらい山羊革であること
◆ リング径は15mm前後であること
◆ エレガントならなお良い
…という希望に、このHIRATAINDERバイブル type Gの「シャンパンゴールド」はぴったりと合致するものだったのです。
システム手帳はバインダーが好みに合えば、おのずと中身も充実します。
なぜなら「好みに合えば、常に持ち歩く」からです。いつも自分の近くにある状態が整えば、そこへ何かとものを記すようになるわけです。
リフィル用紙は選び放題、紙だけでなくポケットリフィルも取り入れて、並べ替えも随時行えるのがシステム手帳の良いところであり。自分の好みにカスタマイズしていく過程など、これぞ至福というものですよね。
小日向の使うHIRATAINDERの中身を見てみると、以下です。▽
左はファイルケースリフィルに入れた「ふたふで箋」を半分に折ったもので、早急に一筆メッセージを残したい! という時のために用意しています。
右はリサイクル紙のリフィルに貼った製品シールです。このように製品情報が充実したものは記録として残しておきます。
もうひとつ。▽
左は調べもののメモで、数ページにわたるものです。リフィルはスライド手帳の5ミリ方眼ノートです。1枚のリフィルの左右両側に綴じ穴があいているのが、スライド手帳のトレードマーク。数ページにわたるメモを表裏に書いた時にも、見たいページ側を並べて見開きにできるところが大変便利です。そろそろ残り枚数が少なくなってきたので、買い足さなければ。
右はインデックスリフィルに貼ったマスキングテープやシールで、また使いたい時用のものです。テープ類も「今ちょっと欲しい」ことがあるため、急場に重宝しています。
裏側にはコンビニのお弁当に貼ってあった「レンジで温める際は必ずはずして下さい」テープまで貼ってあるという…。これが侮れないもので、意外に役立つことが多いため、すっかりここへキープするようになりました。
様々に綴じたHIRATAINDERのたたずまいは手にしっくりきて、ノートのように軽快に扱えます。
もちろん紙リフィルだけを綴じて、ノート代わりに使っても絶好の一冊となることでしょう。
自分だけのリフィル構成を味わいながら、春の生活を充実させてみてはいかがでしょうか。
小日向 京(こひなた きょう)
文具ライター。
文字を書くことや文房具について著述している。
『趣味の文具箱』(エイ出版社刊)に「手書き人」「旅は文具を連れて」を連載中。
著書に『考える鉛筆』(アスペクト刊)がある。
「飾り原稿用紙」(あたぼうステーショナリー)の監修など、文具アドバイザーとしても活動している。