2015年8月19日から毎週更新で始まったこちらの「ひねもす文房具」が、連載100回目を迎えました。お読みいただいている皆さま、ナガサワ文具センターの皆さま、誠にありがとうございます。
今年2017年は、神戸開港150周年。この数の良い回に、記念すべき年を迎えて作られたNAGASAWAオリジナル万年筆を紹介したく思います。
古くから国際貿易の拠点であった神戸港が、鎖国下の江戸時代を経て開港したのは1868年1月1日(慶応3年12月7日)のこと。当時の日本では太陰太陽暦が使われていました。同じ年の10月23日(慶応4年9月8日)に、元号を明治に改元。この年が明治元年となり、日本が太陽暦を採用した1873年1月1日をもって、明治6年1月1日となりました。
明治5年は、12月2日をもって終了。
この暦が変わった一件…手帳好きの私たちがその時代にいたら、大変な騒ぎだったでしょうね…開港してほどない神戸港でも、世の変化に様々な苦労があったことと思いを馳せます。
神戸港150周記念行事が昨年から各所で行われてきたなか、ナガサワ文具センターでも神戸港にちなんだアイテムが登場しました。その筆頭はなんといっても「波止場レアロ」!▽
セーラー万年筆のプロフェッショナルギア レアロをベースに、爽やかなブルーとホワイトのコンピで港町・神戸の波止場を表現しています。
こちらはペン先21金・インクは回転吸入式・キャップを閉めた状態でもインク残量がわかる窓が設けられた、セーラー万年筆製品のなかでもひときわ高級感あふれる逸品です。
そしてその波止場レアロと同じ色彩のブルー×ホワイトのコンピ軸に、MF(中細)スチールペン先を備えた万年筆が、今回紹介する「波止場レクル」です。
こちらは、セーラー万年筆の「透明感」や「パワーストーンカラー」で知られるレクル(Lecoule)が原型です。カートリッジ/コンバーター両用式で、コンバーターも付属しています。
軸を光にかざしてみると…▽
さりげなくキラキラのラメが入っている! 写真のブルーのキャップまわりに見える、小さな粒々がとても品良くきらめいているのです。
神戸港は古くから真珠の貿易港としても栄えたのだといい、そのオマージュがこのやわらかなラメに託されているのですね。
ペン先には、神戸港開港150周年記念のロゴが刻印されています。
また天冠部には、寄港する船を象徴する舵のデザインが。
一瞬「セーラー万年筆?」と思いがちですが、そちらは「碇」のマークです。キップレザーペンケースに挿し並べてみたくなりますね。
波止場レクルのペン先は前述の通りスチールのMF・中細のみですが、これが手帳などの書き込みにも重宝する字幅で、書き味も極上!
インクは、Kobe INK物語 No.2「波止場ブルー」で書いています。
波止場ブルーは、神戸メリケン波止場の海の色。やはり波止場レクルには、このインクを合わせるのが絶好です。
こちらの筆跡は、NAGASAWA神戸煉瓦倉庫店の試筆ノート(リテロ ノートブック)に残してあります。煉瓦倉庫店にいらっしゃるさいには、現物の書き込みを御覧いただきつつぜひノートに試筆なさってみてください。
いつもペンケースに、波止場レクルを。
神戸港の青い海と空、そして船の汽笛が心のなかに浮かんでくるようです。
◆ナガサワ文具センター公式オンラインショップでご購入いただけます。
「NAGASAWA オリジナル 神戸開港150年記念万年筆 波止場レクル 」
小日向 京(こひなた きょう)
文具ライター。
文字を書くことや文房具について著述している。
『趣味の文具箱』(エイ出版社刊)に「手書き人」「旅は文具を連れて」を連載中。
著書に『考える鉛筆』(アスペクト刊)がある。
「飾り原稿用紙」(あたぼうステーショナリー)の監修など、文具アドバイザーとしても活動している。