小日向京のひねもす文房具|第五回「趣味の文具箱 vol.35」

小日向京のひねもす文房具|第五回「趣味の文具箱 vol.35」

『趣味の文具箱』は「文房具を愛し、人生を楽しむ本。」をテーマに、エイ出版社から年4回刊行されている文房具好きのためのムック本です(エイ出版社の「エイ」の漢字は、木へんに世)。
2004年に創刊。昨年2014年には創刊10周年を迎え、30号を数えました。
その最新号が、2015年9月17日発売のvol.35です。
第1特集は「筆欲(ひつよく)を満たすペンと紙」、第2特集は「文房具を大人っぽく楽しむ」という内容です。

筆欲。人には五欲があると言われ、それらは色・音・香り・味・触感に基づき、食欲・財欲・色欲・名誉欲・睡眠欲ともされますが、私たち文房具好きにとって何ものにも勝る欲といえばまさしくこの「筆欲」と言えましょう。
その筆欲を満たすものには何があるのか、どのようなシーンでどのように楽しむのがいいのかなどを、とことん掘り下げた特集内容となっています。
もちろん、万年筆をはじめ筆記具の新製品情報も満載です。

35号に掲載されている、ナガサワ文具センター関連のページをピックアップすると以下の通りです。

38ページ:キップ7本差しマルチロールペンケース
51ページ:神戸手帖「備忘録」c5×6
127ページ:梅田茶屋町店で12月に開催される「梅田 万年筆サミット」のお知らせ

キップ7本差しマルチロールペンケースについては、このブログでこちらに書きました。
神戸手帖「備忘録」は、表紙が神戸インク物語をベースにした3色とのこと。一刻も早く実物を手にしたい! 企画室室長・竹内直行さんのブログでもその美しい外観が見られます。
神戸煉瓦倉庫店を背景に撮影されたこちらも素敵。
そして「梅田 万年筆サミット」も見逃せないイベントです。さっそく手帳に予定を記入!

小日向も、この『趣味の文具箱』に記事を書いています。
なかでも文具情報誌では少々変わり種の「旅は文具を連れて」という連載があり、これは各地の宿泊施設を訪ね、そこでどう文房具を使うか、という提案をした記事です。
今号では16〜21ページで「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」での文房具使いを紹介しています。

この連載で伝えたいことは「私たちが文具を使う時、常に自分が身を置く環境と共鳴し合っている」という点です。
筆記具やノート、手帳など、それら単体の機能とは別に、それらを使う時の自分の置かれた状況によって生まれる存在理由を感じたことはないでしょうか。

たとえば、焼き鳥屋などの席に注文用紙があって、そこに添えられている赤鉛筆も同じです。
赤い線で目立たせ、円滑な注文をするという状況に置かれて、こちらもサッサッと記入しながら、なぜだかにわかに赤鉛筆やその筆記感を愛おしく感じる──。
そうした心情を、旅行×文房具という組合わせで伝えるべく、記事を重ねています。

誌面では優雅な雰囲気を醸し出すことに終始する「旅は文具を連れて」ですが、この取材撮影は担当編集者を筆頭として超過酷! 現場で目にした客室の雰囲気や周辺の景色を文具アイテムに合わせて、日の入り・日の出を計りながら、時間との戦いで取材と撮影を進めていきます。
その行程は優雅からはほど遠く……。
ひとくちで表すとこんな感じです。▽

小日向京のひねもす文房具|第五回「趣味の文具箱 vol.35」

副編隊長の号令のもと、えっさえっさと支度する小日向、そしてふんわりと朗らかな人となりを変えず、理想の写真を次々におさめてゆくフォトグラファーの村山玄子さん。
その結果、誌面を目にする方々に「いい雰囲気」と「文具と環境との共鳴」を感じていただければ幸いです。

また、中島重久堂さんの鉛筆同士をつなげる新型鉛筆削り器「TSUNAGO」を紹介した82〜83ページの小日向手書き原稿は以下のようでした。▽

小日向京のひねもす文房具|第五回「趣味の文具箱 vol.35」

本文14字×26行を1枚の原稿用紙に無理矢理おさめ、最後のほうは向きを変えて枡目を細かく使いながら書いています。文字を数えられる罫線があればOKということです。
この原稿を書いていた時電車に揺られていて、別の紙へ進んで紙を行ったり来たりするより1枚にまとめてしまえ! と書いたものでした。
この切羽詰まった状況も、原稿用紙や筆記具への愛着がますます湧くものに。

22〜25ページのインタビュー「手書き人」は、書家の石川九楊さん。なぜ人は手書きで文字を綴ることに喜びを抱くのか。その答えを緻密に、かつ明解に語っていただいています。
モンブランの万年筆で書かれた、読者に贈る言葉も必見。
これから迎える秋を、『趣味の文具箱 vol.35』とともにいっそう彩り深く過ごしましょう。

小日向 京(こひなた きょう)

文具ライター。

文字を書くことや文房具について著述している。

『趣味の文具箱』(エイ出版社刊)に「手書き人」「旅は文具を連れて」を連載中。

著書に『考える鉛筆』(アスペクト刊)がある。

「飾り原稿用紙」(あたぼうステーショナリー)の監修など、文具アドバイザーとしても活動している。

小日向京のひねもす文房具



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