2500万ha(ヘクタール)
これは日本の森林面積の広さで、東京ドームに換算すると約5,347,000個分に相当します、といわれてもあまりにも桁が大きすぎて、イメージすることは少々難しいですが、日本の国土面積は約3780万haと言われているので、実に2/3が「森林」で占めていることになります。
これがどのくらい凄いのかというと、世界の先進国(OECD諸国)の中で、第一位のフィンランドに次いで第2位に位置して世界的にみても日本は緑に囲まれた国といえます。
神戸では、北に目を向ければそこに六甲の山並みが広がり、ちょっと足を伸ばすだけでも、すぐ近くに森の緑と出会う事ができます。
また、東京のような大都会でも、新宿御苑や明治神宮など緑の空間があり、日本人は自然と隣合わせの環境の中で暮らし、あたりまえのように緑に触れる機会が多い民族と言えます。
近くの公園を散歩するだけで、ほっと和らいだ気持ちになれるも、きっと幼い頃から緑と一緒に暮らしてきた、日本人だからこその感覚なのかもしれません。
NAGASAWAオリジナル万年筆「葉洩れ日」
「万年筆」という筆記具は、ジェンダーレスが進む現代においても、まだまだ男性のツールというイメージが強く、いまの社会を俯瞰して見ても、そういった思い込みを持っている人が多いように思えます。
そんなイメージを払拭するように、職場や家庭で活躍するすべての女性のために「葉洩れ日」と名付けられた万年筆が2023年10月にナガサワ文具センターから発売されました。
「葉洩れ日」とは、木々の隙間を通して差し込む日の光のことで、ほの暗い森の中でこの光景と出会った時、その光が心を癒やしてくれる存在であるように、この万年筆を手にした人自身がそんな暖かくて優しい人でいられようにとの願いが込められています。
透明感のあるスケルトンなボディには自然を感じさせる「緑」を採用して、木々の枝葉というフィルターを通して感じる太陽の光は、きらきらと輝くラメで再現したこの万年筆は木漏れ日を意味する「Sunshine filtering through the leaves」という表現がぴったりくる、優しさと温もりを感じさせる1本に仕上がりました。
さまざまなライフスタイルに寄り添ってくれる万年筆
この原稿を手がけている時、ちょっと表現に行き詰まってしまい、近所の公園へ「葉洩れ日」をシャツの胸ポケットにしまって散歩に出かけてみました。
ベンチに腰掛けて「葉洩れ日」を片手にノートを広げると、気持ちがほどよくリセットされて、机に向かっていた時には思いつかなったフレーズが浮かんできました。
万年筆に仕事や家庭、onとかoffといった棲み分けはありませんが、「葉洩れ日」はどちらのシーンにも、優しく寄り添ってくれる万年筆のように感じました。
せっかく、ナガサワ文具センターが女性のためにと、作ってくれた「葉洩れ日」ですが、これは女性だけでなく、日頃ストレスと闘っているわれら男性諸氏にも門戸を開いて欲しい!と訴えようかと思いました。でも、そこはナガサワ文具センターさん、ちゃんと男女の分け隔てなく購入することが可能でした。
ただし、男女の区別なく購入できると書きましたが、2023年に開催された下記のペンショー会場限定販売のモデルということで、会場に足を運んだ人にだけのご褒美になったのは少々残念でしたが…
古典的な万年筆やビビッドでアグレッシブなデザインの万年筆も魅力ですが、筆記具は本来気持ちをフラットな状態にして書くに相応しい道具です、「仕事や家庭で頑張る女性のために」というコンセプトの元で生まれた万年筆「葉洩れ日」のような、モデルがこれからもどんどんと登場してくることを、働く男性からも切に希望します。
ペンショー会場限定発売「葉洩れ日」万年筆
・神戸ペンショー(2023年10月14日・15日)
・台南筆展・台湾(2023年10月21日・22日)
・東京インターナショナルペンショー(2023年11月3日~5日)
筆者プロフィール
出雲義和・フリーランスライター
文房具を中心に様々なジャンルで執筆活動を行うほか、テレビやラジオにも出演。様々な視点で文房具の魅力や活用術を発信中。
works:雑誌書籍「趣味の文具箱」「ジブン手帳公式ガイド」「無印良品の文房具。」他、web「WEZZY」「マイナビおすすめナビ(監修)」他