スタッフの佐藤です。
「万年筆のインク」といえばKobeINK物語のようなボトルインクのイメージが強いかもしれませんが、この記事ではカートリッジインクについてあれこれ書いてみようと思います。
カートリッジインクの良いところ
万年筆を購入したことがある方は付属品として見たことがありませんか?
インクの入った小さな筒、これがカートリッジインクです。
最近はボトルインクの種類がどんどん増え、カートリッジインクを使うことが少なくなったという方も多いのではないでしょうか。
カートリッジインクの魅力はなんといっても「手軽さ」だと思います。
まずペンとカートリッジを用意する。
そして、首軸に挿し込む。
これだけでセット完了。あとはペン先までインクが流れてくるのを待てばすぐに筆記できます。
ボトルインクをコンバーターに装填する時間も楽しい時間ですが、ティッシュの用意や手の汚れる心配もなく、外出先での交換も簡単に行えるのは嬉しいポイントですね。
使用上の注意
カートリッジはメーカーによって長さや太さ、挿込口の大きさが違います。ほとんどのメーカーは自社のカートリッジインクを生産しているのでペンのメーカーと合わせたカートリッジインクを使用してください。
一部メーカーでは「ヨーロッパ規格」という規格に基づいた互換性のあるカートリッジも販売されていますが、万年筆によっては微妙に挿さりが甘いものや口の大きさが適合しないものもあるので注意が必要です。
カートリッジをペンに差し込む時は真っ直ぐ挿し込んでください。ねじったり回したりするとペンの故障につながってしまいます。
カートリッジインクを使用できない万年筆も紹介しておきます。
ペリカン万年筆のスーベレーンシリーズやツイスビーのような「本体吸入式」と呼ばれる万年筆はボトルインクから本体に直接吸入して使用することしかできないのでカートリッジインクを使用することはできません。
保管期間
密閉されている筒ではありますが、未使用のカートリッジインクも長期間放置すると水分がなくなり万年筆の使用に向かない状態になってしまいます。未使用であっても製造から3年を目安に使用してください。
メーカーによっては商品の箱に製造年月日が記載されています。購入の際にはぜひチェックしてお買い物をしてください。
一度ペンに挿し込んだ後、カートリッジインクの交換や、ペンの掃除をするために中にまだインクが入ったカートリッジを外す場合はインクが残っていてもったいない気持ちもあるかもしれませんが廃棄してください。
ちょっと特殊なセット方法
カートリッジインクのセット方法は基本的には上に挙げた「真っ直ぐ差し込む」方法なのですが、商品によってはセット方法が異なるものがあります。
LAMYサファリのカートリッジセット方法を説明したいと思います。
まず首軸内部ににカートリッジを置きます。ここで力任せに挿し込まないようにしてください。
カートリッジを置いたまま胴軸をセットし、くるくると最後まで閉め切ります。
最後まで閉め切ると中でカートリッジが挿し込まれます。
これでセット完了。インクがペン先に流れるまで待ち、筆記可能になります。
新品のサファリについている紙でできたリングは誤ってインクが挿さらないようにストッパーの役割をしているのです。
色数の少ないカートリッジインクですが、簡単に使えるインクなので「万年筆ってめんどくさそう」と思っている方のハードルをちょっと下げてくれると思います。