ナガサワ文具センターの人気オリジナル商品のひとつ、キップレザーシリーズ。
このシリーズには小銭入れから手帳ケース、ペーパーウェイトまで各種揃っており、節目節目に買い足していくのが嬉しくなる逸品です。なかでも上の写真のような3本差しペンケースをお持ちのかたは、特に多いのではないでしょうか。
左が3本差しL、右が3本差しSです。
たとえば文具好きが集まってひとしきり万年筆の話などしようという時、
「これが新しい子で!」
なんて言いながら万年筆を出すのはたいがいこのキップレザーペンケースの中からであり、それを横目に別の者が(よし。こっちの新着アイテムも見せたる…)と鞄の中から出してくるのもこのキップレザーペンケースで、その取り出す動作に促されるようにしてさらに別の者が無意識にごっそり出してくるのもまた、このキップレザーペンケースだったりするものです。
そうなると、ねえねえやっぱりこのペンケース率ってかなり高いよね、という話になり、ついには「キップレザーの点呼」など始めてみたりして、1! にい! 3!…とやっていくと、「集まった人の数よりもキップレザーペンケースの数のほうが多かった」という結果になることもしばしば。
そんな折、複数使いをしている人を見ると、
◆ 10本差し+3本差し
◆ 7本差し+3本差し
◆ 5本差し+3本差し
◆ 3本差し+3本差し
…といった組み合わせに2本差しや1本差しを混ぜこんでいるという状況が顕著です。
かくいう小日向もそのひとりで。
◆ 今日は10本がっつり持ち歩くぞという時→10本差し
◆ 5本以下におさめるのは難しく、ちょっとした小物も入れたりしたい時→7本差し
◆ 今日は7本も持たない、でも4本は持つだろうしボールペンも入れようかなという時→3本差し+3本差し
◆ 今日はミニマムに3本でおさめる! という時→3本差し
という風に使い分けています。
実は5本差しも用意してあるのですが、上記のやり方でうまく回っているために、まだ登場出番がないという…。そろそろ「すっきり5本差し」をキメてみたいと思います。
このキップレザー製品については、以前に第三回で7本差し マルチロールペンケースを紹介しました。
革の定番色は、ブラックとボルドー。ブラックにはシックな赤のステッチと裏地が、ボルドーには黄金がかったベージュのステッチと裏地が配色してあります。
小日向は10本差しと7本差しは定番色のブラックですが、3本差しLは2015年の神戸ペンショーで発売されたエメラルドグリーンを、3本差しSはNAGASAWAさんちか店限定の王子チェリーを求めました。そのように、時折発売される限定色を待ち構えてみる楽しみもあります。
このエメラルドとピンクの組み合わせが実に魅力で…!
重ねる時にはどうも、写真のようにペンケース同士の凹と凸を合わせて「ずらし重ね」したくなります。
これが鞄の中で省スペースに薄くおさまり、持ち運びがとても快適。2つ入れる時には横に並べても良いですし、「鞄のこのあたりに入れたな…」と片手でアクセスして万年筆単体のみでサッと出し入れできるところも魅力です。
前述の第三回に書いた通り、裏地は万年筆を出し入れするたびに軸を綺麗に磨いてくれるエクセーヌ素材。こうしている間にも、早く出し入れしたい! と記憶に訴えかけてくる使用感は、なかなかないものですよね。
ペンケースを机に出している時には、上の写真のようにしていっとき休めた万年筆を横たえておくのにも便利です。
特に中にも万年筆が入っていると、凹凸ができているので安定の横たわり。この行いも3本差し使いの方々の机上の常なのではと思います。
ちなみに上の通り、3本差しSサイズのプラチナ #3776センチュリーとの相性もぴったり。中に入れるとわずかに天冠部が現れるくらいのおさまりようで、抜き出す時につかみやすいです。
LサイズとSサイズでのプラチナ #3776センチュリーとデルタ ビンテージの大きさ比はこのようになります。
Lサイズはいくぶん万年筆が潜るように収納され、天冠まで余裕ですっぽりおさまります。もっと長いものや、太いものにもLは対応するので、手持ちの筆記具に応じて適宜使い分けるのが良いようです。
3本差しペンケースは平たいので、ちょっとした移動でノートなどとともに抱えて持つ時にもスマートにまとまります。
万年筆使いが快適に、いっそう楽しくなるペンケース。まだ体感していないかたは、これから味わえるという幸せが。ぜひお試しください!
そして今後登場するであろう限定色も心待ちにしています!
小日向 京(こひなた きょう)
文具ライター。
文字を書くことや文房具について著述している。
『趣味の文具箱』(エイ出版社刊)に「手書き人」「旅は文具を連れて」を連載中。
著書に『考える鉛筆』(アスペクト刊)がある。
「飾り原稿用紙」(あたぼうステーショナリー)の監修など、文具アドバイザーとしても活動している。