昨年惜しまれつつも長期休業がアナウンスされた、イタリアの筆記具メーカー・デルタ。
1982年に創業したデルタは「ドルチェヴィータ」など数々の名品を生み出し、美しいレジンを用いた軸デザインと書き味で多くの万年筆好きを魅了してきました。
現在日本でデルタ製品に出会う手だては市場に出回る在庫を探すのみとなり、その在庫から買っておこうという皆の試みも一巡したかのように思えた2018年1月。
そのデルタ製品を一堂に集めて、神戸・三宮のナガサワ文具センター本店にあるPenStyle DENと、大阪・梅田茶屋町にあるNAGASAWA梅田茶屋町店では40%OFFセールを開催しているのです。
売切御免! 急いで行きましょう!
小日向もデルタの万年筆には大変愛着があります。
初めて購入したデルタは、プロフィリレジン。14金のペン先で、軸は全身オレンジをまといスターリングシルバーがアクセントとなっており、尻軸にネジ式でキャップを固定できる品でした。
樹脂がこんなに美しいなんて…と時を忘れて見入ったものです。
そして一気にデルタに注目。ドルチェヴィータもいつかは欲しいものだなと思いつつ、続いて小型の丸軸をしたビンテージ ホワイトに手をのばし。
ビンテージはスチールペン先で、短い軸のため純正コンバーターは使えず、ヨーロッパタイプの小カートリッジを挿すことになります。ヨーロッパタイプ小サイズのコンバーターといえばカヴェコ製のものがありますが、結局は「少しでもインクを多く入れたい…」と、空になったカートリッジ容器にシリンジでインク注入することが定番の行いとなりました。
これがまったく面倒だと思わない理由は、ビンテージの軸の握り心地の良さとその書き味にあります。このスチールペン先は、文字の一画一画を書くことを楽しく意義深いものに感じさせ、また余計な気負いを抱かせません。
ビンテージについては、第三十二回でテーマにしています。
デルタ休業前には、例年限定版が発売されたりなどして一喜一憂。そうこうするうち、3本また4本と増えていき、昨年の長期休業が発表された時には、「私のデルタ購入はこれで一段落してしまったんだなあ…」としみじみしたものでした。
が、そこへきてこのデルタ40%OFFセール投下。これ全然デルタ購入一段落してなかったし!! と、DENのショーケースを食い入るように眺め、選んだものはこちらでした。
2014年に日本限定モデル第8弾として150本発売された、ビンテージ型の万年筆「イルジオーネ」です。
ブルー、レッド、イエロー、ホワイトの織り成す軸の波紋が美麗! キャップは濃紺色です。
イルジオーネはイタリア語で「幻想」の意味。
今になってこのイルジオーネで出会えるなんて…とまさしく幻想にも似たセール…小日向が見た時には、ドルチェヴィータや限定軸もふんだんに並んでいましたよ!
イルジオーネに合わせるインクはあれこれ悩んだすえ、ファーバーカステルのモスグリーンにしました。
デルタの万年筆は書いていて「もっと書きたい!」と感じる高揚が文字にあらわれます。綺麗か、整っているか…それよりも、もっと書きたい! なのです。
このイルジオーネも気持ちいいことこのうえなし。心を晴れやかにしてくれる万年筆が、また1本増えて嬉しいです。
そして加わったイルジオーネと、これまでに少しずつ揃えたデルタが上の写真。
人ひとりのデルタ量としては決して少なくはないものの、やはりもうちょっと欲しいなあ…と思ったり。
左から3本目のドルチェヴィータ・パピヨンは『趣味の文具箱 vol.31』の旅は文具を連れて・強羅環翠楼のページで紹介し、ビンテージも折に触れて紹介してきました。
さてビンテージのような同型軸色違いものでやりたくなるのが、キャップ同士のシャッフルです。
第三十二回でも2本のキャップをはめ替えてみているのを、もう少し増やしてやってみましょう。
どれもなかなか合っているのではないでしょうか?
特にイルジオーネは、上のキャップすべて似合いそうですね。今後も果敢にキャップを替えてみたいと思います。
こちらのセールは2月15日(木)までですが、モデルはなくなり次第品切れとなるためお急ぎを。
これまでのデルタ商品に出会えるこの機会を、どうぞお見逃しなく!
小日向 京(こひなた きょう)
文具ライター。
文字を書くことや文房具について著述している。
『趣味の文具箱』(エイ出版社刊)に「手書き人」「旅は文具を連れて」を連載中。
著書に『考える鉛筆』(アスペクト刊)がある。
「飾り原稿用紙」(あたぼうステーショナリー)の監修など、文具アドバイザーとしても活動している。