ペリカン・スーベレーンは「どの縞を選ぶか」という点に迷い、長きにわたり買えなかった話を、以前の第七十五回「ペリカン スーベレーン M400 ホワイトトータス」に書きました。その時点でのスーベレーンはM800 茶縞とM400 ホワイトトータスの2本だったところ、このたび新たな1本を追加。それがこちらのD300 緑縞です。
これでスーベレーンもようやく3本目。この本数は「万年筆好きの面々も逆に羨むほど少ない」のではないだろうか?
800の長い太軸万年筆、400のハンディな万年筆、そして300の小さいシャープペンシル。人ひとりの持つスーベレーンとして、実に理想的な流れです。
『やだ! まだボールペン持ってないの? すごくいいよ?!』
なんて声が聞こえてきそうで…ボールペンも常に悩み続けているのですが、これが縞をどれにするかのみならず、ノック式かツイスト式かといった点も考慮し始めると収拾がつかなくて!
同じことはシャープペンシルにも言えることであり…しかし、「300はまず押さえておくべきもの」と選びました。
スーベレーン300シリーズは、緑縞・黒と色数の少ないのもありがたい点です。
時折同サイズで限定軸の320が発売になり心揺さぶられるものの、定番2色の魅力もまた永遠。
そこで自分にとって、今さらながら初めての緑縞となりました。
そして、専用ペンケースも用意しようかな…と無意識のうちに300サイズの3本挿しペンケース・TGS-31も購入。
こういう無意識が侮れない。上の写真からもわかるように、縦12.5cm×横4.6cmのサイズ感が、左のNAGASAWA×Ashford M5マイポケ5 にあまりに合っていたので!
第百三十三回に書いたマイポケ5は、名刺サイズにも近しい小さなシステム手帳。そのマイポケ5が、こんなに大きく見えるなんて…スーベレーン300がいかに小さいか、うかがい知れることと思います。
マイポケ5を開いて書いたところは、この通り。もう〜みんなして小さいんだから!…と嬉しくなってくるサイズ比です。
左のページは観劇中のメモにしたもので、小さなD300は握った時に天冠部がさほど手の上からはみ出ず、記述で多少手を動かしていても周囲の視界を邪魔しません。
ツイスト式の0.7mm芯はキリッとシャープに書けて、かつ太芯寄りのまろやかさもあり、小さな文字にも快適です。
手帳記述から仕事での書類への書き込みまで、様々な場面で活躍してくれることでしょう。
さらにD300の小ささを物語る、M800との比較です。
短い、そして細い! 間に置いた赤青鉛筆が大人に見えてくるほどで…。
ボールペン版のK300も同じ外観をしており、いずれも万年筆のM300とは緑縞の位置が逆になります。
万年筆=ボディーが緑縞、キャップは黒
ペンシル・ボールペン=ボディーは黒、キャップに相当するクリップ部分が緑縞
と異なるところも、やはりどうにも並べてみたくなるものですね。
ペンケースはこのように、内部で3つに仕切られています。
空いているスペースには何かを入れたい…というわけで、カランダッシュ エクリドール 万年筆 XSと、短くなった赤青鉛筆を入れてみました。
現在は惜しくも廃番となってしまったエクリドールXSですが、スーベレーン300との組み合わせがこんなにキマっているなんて!
このエクリドールXSは定番入れとしつつも、やはり次はここへ万年筆のM300を挿したい!
そこへストーリーを持っていくために、このペンケースも用意したのだなあ…としみじみ思う次第です。
ゆくゆくM300を手にするさいには、こちらで報告いたしますね!
ようやくD300を手にしてその素晴らしさを体感した今、M300が加わる時は、おそらくそう遠い日ではなさそうです。
小日向 京(こひなた きょう)
文具ライター。
文字を書くことや文房具について著述している。
『趣味の文具箱』(エイ出版社刊)に「手書き人」「旅は文具を連れて」を連載中。
著書に『考える鉛筆』(アスペクト刊)がある。
「飾り原稿用紙」(あたぼうステーショナリー)の監修など、文具アドバイザーとしても活動している。