小日向京のひねもす文房具

小日向京のひねもす文房具|第百三十七回「オエステ会 プレラ アイビスレッド」

小日向京のひねもす文房具|第百三十七回「オエステ会 プレラ アイビスレッド」

今年もオエステ会の限定プレラ発売時期が到来!
オエステ会は、もうすっかり皆さまにもおなじみと思います。西日本に本社のある文房具専門店による団体で、数々のオリジナル文具で私たちを楽しませてくれていますよね。
例年春に登場する限定軸のオエステ会プレラは、鳥の羽色がモチーフ。「カナリアイエロー」「フラミンゴピンク」「カワセミブルー」「パロットグリーン」と続いて、今年の第5弾は上の写真の「アイビスレッド」となりました。

過去のひねもす文房具の中で、関連するオエステ会のあらましと2016年のプレラ カワセミブルーについては、第三十六回第三十七回に、また2017年のプレラ パロットグリーンについては第八十五回に書きました。

アイビスは「朱鷺(トキ)」。学名は「Nipponia Nippon(ニッポニア・ニッポン)といい、古くから日本にいた鳥です。昭和の時代には日本の野生種は絶滅の一途をたどりましたが、その後中国のトキを譲り受け、人工繁殖を経て放鳥されるまでに至ったといいます。
そのトキの顔の赤い色を表したのが、今年のプレラのアイビスレッド。やさしい色合いの鮮やかピンク系が、プレラの透明感と抜群に合っています。

小日向京のひねもす文房具|第百三十七回「オエステ会 プレラ アイビスレッド」

プレラにはコンバーターも付属します。過去に廃番となったCON-50に代わって昨年からはCON-40が付属しており、そのかん透明カクノの発売もあったりなどして、皆さまもすっかりCON-40との付き合いかたには慣れていることと思われ…透明な回転ツマミやインク攪拌用の小さな金属の球も涼しげで眺めよし。
そのCON-40コンバーターにインクを満タンに入れる行い方については、第九十四回に書いています。

さて、中に入れるインク色はどうするか?
新しいインクを入れようという選択肢には第八十五回に書いた通り、
【A】軸色とインク色を同系色にする
【B】軸色とインク色を補色(色相環で正反対側に位置する色)や、意外性のある色にする
【C】いつもたいていの万年筆に入れるブルーブラックにする
の3択から選んでいますが、今回のアイビスレッドの場合、

【A】なら、桃色〜鮮やかピンク系
【B】なら、ジェードやエメラルドっぽい緑系
【C】なら、純正パイロットのブルーブラックかしら…

などと考えを巡らせたのち、最終的に【A】を選択。
Kobe INK物語の第30集、王子チェリーにしました。
…ん? 昨年のパロットグリーンの時に入れたインクと同じです。春に迎えた万年筆には、王子チェリーを選びたくなる率高し?

小日向京のひねもす文房具|第百三十七回「オエステ会 プレラ アイビスレッド」

「朱鷺」と書いてみて、わぁ〜インクとの組み合わせもいい感じ! と、今年もひとり満足。
紙はあたぼうの「飾り原稿用紙 桃雲流」です。桃も桜も、みんなトキと仲良くなれる色に見えて嬉しくなります。
写真のアイビスレッドの字幅はM。オエステ会のマークが映えています。
心地良い書き味!

これは様々な万年筆にいえることですが、同じインクを違う軸に入れると、なんだか違う印象を抱くものです。字幅による色みの違いはもちろんのこと、それが同じ型番の色違い軸であるという今回のようなわずかな差でも、インクがそれぞれに彩りを増すようです。

心の空にトキを羽ばたかせ。
プレラ アイビスレッドで、春を存分に満喫いたしましょう!

小日向 京(こひなた きょう)

文具ライター。

文字を書くことや文房具について著述している。

『趣味の文具箱』(エイ出版社刊)に「手書き人」「旅は文具を連れて」を連載中。

著書に『考える鉛筆』(アスペクト刊)がある。

「飾り原稿用紙」(あたぼうステーショナリー)の監修など、文具アドバイザーとしても活動している。

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