地震に強いオフィスづくりの全体像
日本のオフィスにおける地震対策は「人命最優先」を起点に、①転倒・落下・移動の防止、②避難路の確保と誘導、③情報伝達と事業継続の3層で考えるのが実務的です。オフィスの実態に合わせて、レイアウトや工事、備蓄、ルールを面で最適化することで被害を最小化できます。
- 安全設計の優先順位は「人命→事業継続→原状回復」
- BCPと日常の防災運用を一体化し、定期的に更新
- レイアウト変更や増席時は必ず防災観点で再チェック
BCPと防災の関係
防災は「その瞬間の安全確保」、BCPは「その後の事業継続」。椅子や棚の固定、避難動線、備蓄・連絡体制、復旧手順までを一本化して計画しましょう。
家具固定と什器の転倒・移動防止
デスク・収納・キャビネットの固定方法
- L字金具・専用固定金具で壁下地や支柱へ確実に固定
- 床固定はOAフロア用アンカーやベースプレートを使用
- 連結金具で収納を面一にして一体化し、単体転倒を防止
- 耐震ベルト・ストラップで揺れ方向の移動量を制限
- 耐震マット・滑り止めは補助として活用(固定と併用)
レイアウトでできるリスク低減
- 背の高い収納は通路・出入口から離す(倒壊時の塞ぎ防止)
- 通路側の最上段は軽量物のみ、重いものは下段保管
- 人の頭上に吊下げ物を作らない設計にする
- 島配置の端部に安全距離を確保(避難時の回避スペース)
サーバーラック・複合機・金庫の対策
- サーバーラックはアンカーボルトで床固定、上部控えで横揺れ抑制
- 複合機・金庫はキャスター固定や転倒防止金具で移動を防止
- ケーブルは配線トレイと結束で引っ掛かりをゼロに
ガラス・天井・照明の落下と飛散対策
ガラスの飛散防止
- 全面貼りの飛散防止フィルムで二次災害を抑制
- 間仕切りガラスは上下・左右の納まりと固定強度を再点検
天井材・照明・サインの落下防止
- 照明器具・天井設備には落下防止ワイヤや脱落防止金具
- 装飾サイン・植物・掲示物は壁固定または安全高さで配置
配線・ネットワーク・電源の冗長化
停電時の初動を支える電源計画
- UPSでゲートウェイ・スイッチ・サーバーの停止を安全化
- 非常用電源やポータブル電源で最小限の業務継続を確保
ネットワークの冗長化
- 二系統回線(有線+モバイル回線)でフェイルオーバー
- 重要端末は有線優先、Wi-FiはAP分散で単点障害を回避
安全な配線と床環境
- ケーブルは床上露出を排除、OAフロア・モールで段差解消
- 配線は結束・ラベリング徹底で復旧を高速化
避難路の確保と誘導計画
避難経路の設計ルール
- 出入口から二方向避難を基本に動線を計画
- 主動線は常時900mm以上を目安に確保(人員に応じて拡張)
- 避難動線上に背の高い什器を置かない・滑り物を置かない
サイン・誘導灯・非常照明
- 非常口サインの視認性、誘導灯・非常照明の点検を定例化
- 停電時も見える蓄光表示の併用で冗長化
避難訓練の回し方
- 想定地震の規模と発生時間帯を定義(勤務中・来客中・夜間など)
- 初動行動の確認(身の安全確保→避難誘導→点呼)
- 役割分担(避難誘導・救護・通報・情報集約)を明文化
- 事後レビューで動線・備品・ルールをアップデート
備蓄と情報伝達・安否確認
備蓄の考え方
- 飲料水・食料・簡易トイレ・衛生用品を従業員数×複数日分用意
- 軍手・ヘルメット・簡易担架・毛布・携帯ライト・ホイッスルを常備
- 保管場所は分散配置し、転倒・水濡れ対策を行う
連絡体制と安否確認
- 安否確認ツールと代替手段(電話連絡網・掲示)を併用
- 在宅勤務と出社が混在する体制で情報の一元管理
オフィスレイアウト・工事でできる耐震強化
パーテーション・間仕切りの耐震施工
- 天井際のクリアランスと躯体固定で横揺れ対策
- ガラス間仕切りは飛散防止・固定強度を両立
OAフロアと床固定ポイント
- 床下の支持脚強度を確認し、重量物の直下を補強
- ラック・金庫・自立什器の床固定を計画段階で設計
原状回復・移転時の注意
- 撤去や増設のたびに避難動線・固定状態を再評価
- 移転先のレイアウト設計で防災要件を先出しで織り込む
そのまま使える簡易チェックリスト
- 家具・什器
- 高収納の壁固定と連結は完了している
- サーバーラックと金庫は床固定されている
- 通路側最上段に重量物がない
- ガラス・天井
- 窓・間仕切りに飛散防止対策がある
- 照明・サインに落下防止ワイヤがある
- 配線・電源
- 床上露出配線がない・段差がない
- ゲートウェイとコア機器にUPSがある
- 避難
- 二方向避難が確保されている
- 非常口サインと非常照明は作動する
- 備蓄・連絡
- 従業員数に応じた備蓄があり分散保管されている
- 安否確認ツールと代替手段が運用されている
よくある質問
家具固定は賃貸でも可能ですか
原状回復の範囲で可能な方法を選べます。下地位置を選んだ最小限のビス固定や、床養生付きのベースプレート、天井への控え、連結金具などを組み合わせて計画します。
何から始めればよいですか
まずは現状診断がおすすめです。①レイアウトと動線、②固定状況、③配線と電源、④ガラスと天井、⑤備蓄と連絡体制を点検し、優先順位をつけて改善します。
訓練はどのくらいの頻度が目安ですか
年に複数回を目安に、時間帯や在席状況を変えて実施すると実効性が高まります。避難経路の工事やレイアウト変更後は臨時訓練を行うと安全です。
対応エリアとワンストップ支援のご案内
オフィスレイアウト神戸は、現地診断から設計・工事・備蓄計画・運用ルール作成まで、地震に強いオフィスづくりをワンストップで支援します。
- オフィス移転・レイアウト設計・オフィス家具
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神戸・阪神間・播磨エリアを中心に全国ご相談可能です。無料現地診断や対策優先度表の作成もお気軽にご依頼ください。
まとめ
オフィスの地震対策は、固定・動線・情報・備蓄の4点を押さえれば着実に強化できます。レイアウトや工事と同時に、運用と訓練を回すことで安全性と継続性が高まります。まずは現状診断から—オフィスレイアウト神戸が具体策まで伴走します。