オフィスの床やデスクまわりに、電源タップやLANケーブルがぐちゃぐちゃに散らかっていませんか?
配線が整理されていないオフィスは「見た目が悪い」だけでなく、転倒や火災などのリスク、トラブル対応のしづらさにも直結します。この記事では、今すぐできる整理術から、レイアウト変更時に検討したい配線計画まで、分かりやすく解説します。

なぜオフィスの配線整理が重要なのか
見た目・ブランディングの観点
オフィスは社員だけでなく、取引先や採用候補者が訪れる「会社の顔」です。床やデスク下にコードが散乱していると、どうしても「雑然とした会社」という印象を与えてしまいます。配線をきれいにまとめることで、オフィス全体の印象が引き締まり、ブランディングの向上にもつながります。
転倒・火災リスクを減らす安全対策
配線が床に這っていると、椅子のキャスターで踏んで断線したり、足をひっかけて転倒したりする危険があります。また、タコ足配線で電源タップに負荷がかかりすぎると、発熱・火災の原因になる可能性もあります。配線整理は、社員の安全や事業継続の観点でも非常に重要です。
トラブル対応・業務効率の向上
「このケーブルはどのPC?」「どのタップを抜いていいのか分からない」──配線がぐちゃぐちゃだと、ちょっとしたトラブル対応にも時間がかかります。あらかじめケーブルを整理し、ラベリングしておくことで、機器の入れ替えや不具合対応がスムーズになり、ムダな作業時間を削減できます。
配線整理を始める前に確認したいポイント
現状の配線状況を棚卸しする
いきなりケーブルをまとめ始めるのではなく、まずは現状把握からスタートします。
- どの席・どのエリアに、どんな機器が何台あるか
- それぞれの機器が、どのコンセント・どのLANポートにつながっているか
- 不要になったケーブルや、使われていない電源タップが残っていないか
スマホで写真を撮りながら確認しておくと、後から見返せて便利です。
電源タップの容量とタコ足配線をチェック
オフィスでありがちなのが、延長コードや電源タップを何個も連結した「タコ足配線」です。電源タップには最大容量(例:15A・1500Wなど)があり、これを超えて使うと発熱や火災の原因になります。PC、ディスプレイ、複合機、ヒーターなど、消費電力の大きい機器が集中していないかを確認し、必要に応じてタップや回路を分散させましょう。
今後のレイアウト変更も見据えておく
席替えやレイアウト変更が多いオフィスの場合、「いまだけ何とかつながればOK」という配線にしてしまうと、後からやり直しが発生します。将来的に席数が増える可能性や、会議室・フリースペースの拡張なども想定しながら、余裕を持った配線計画を考えておくことが大切です。
今すぐできるオフィス配線整理の5ステップ
ここからは、特別な工事をしなくても、すぐに取り組める配線整理の手順をステップ形式で紹介します。
- 一度すべての配線を外して「リセット」する
- 不要なケーブル・古いタップを処分する
- 足元からケーブルを「浮かせる」工夫をする
- ケーブルをまとめ、ラベリングを徹底する
- 電源タップと充電ポイントを「集約」する
ステップ1:一度すべての配線を外して「リセット」する
中途半端に整理を始めるより、一度思い切って配線を全部外してしまう方が、結果的に早くきれいになります。
- ケーブルを抜く前に、現状の写真を撮っておく
- どのケーブルがどの機器か分かるよう、仮のラベルを貼っておく
- 抜いたケーブルは、デスクごと・エリアごとにまとめておく
「怖くて抜けない」電源は、ブレーカーや重要サーバーなどに関連している可能性があるので、管理者に確認しながら作業しましょう。
ステップ2:不要なケーブル・古いタップを処分する
配線トラブルの元になりやすいのが、役目を終えたケーブルや、古くなった電源タップです。
- 使われていないLANケーブル・電源コードは思い切って処分
- 被膜が固くなっている、割れている、変色しているタップは交換
- 規格の古いケーブル(10/100Mbpsしか出ないLANケーブルなど)は、新しいものに入れ替え
「いつか使うかも」と取っておくと、オフィスのどこかでまた「とりあえず使われてしまう」ことも多いので、処分と保管のルールを明確にしておくと安心です。
ステップ3:足元からケーブルを「浮かせる」工夫をする
床にケーブルを這わせないことが、配線整理の大きなポイントです。次のようなアイテムを活用しましょう。
- デスク下ケーブルトレー・ケーブルラック
- ワイヤーネット+結束バンドで、デスク裏にタップごと固定
- ケーブルボックスで、床上のタップやアダプターをひとまとめに収納
- 通路を横切る部分は配線モール(ケーブルカバー)で保護
「オフィス 配線 整理 ケーブルトレー」「デスク下 ケーブル収納」などで検索すると、クランプ式で穴あけ不要のトレーも多く販売されています。賃貸オフィスでも導入しやすいアイテムです。
ステップ4:ケーブルをまとめ、ラベリングを徹底する
見た目とメンテナンス性を両立するには、「束ね方」と「ラベル」が重要です。
- 面ファスナー(マジックテープ)タイプのケーブルタイで、ゆるく束ねる
- 電源ケーブル・LANケーブルなど種類ごとに束を分ける
- 「PC_山田」「モニター_席A-03」など、ケーブルの機器名・席番号をタグに記入
- 束ねすぎて熱がこもらないよう、電源タップ周りは余裕を持たせる
ラベリングしておくことで、席替えやPC入れ替えのたびに「どのコードか分からない」という状態を避けられます。
ステップ5:電源タップと充電ポイントを「集約」する
あちこちにバラバラと電源タップが置かれていると、足元がごちゃつき、ホコリも溜まりやすくなります。
- 各デスクごとに「メイン電源タップ」を1つ決める
- スマホ・タブレット充電用のUSBタップは、共用スペースに集約
- 会議室には机上コンセントや床下コンセントを整備し、延長コードを減らす
「どこで何を充電するか」を決めてしまうことで、自然と配線も整理されていきます。
オフィス配線整理に役立つ便利グッズ
デスク下ケーブルトレー・ケーブルラック
「机 配線 隠し」「デスク下 ケーブル収納」などのキーワードでよく出てくるのが、デスク下に取り付けるケーブルトレーです。電源タップやACアダプタ、余長のケーブルをまとめて収納でき、床からケーブルを浮かせられるため、足元が驚くほどスッキリします。
ケーブルボックス・タップ収納ケース
床に置かざるを得ないタップやアダプタは、ケーブルボックスで囲ってしまうのがおすすめです。
- ホコリが溜まりにくくなり、火災リスクを軽減できる
- 見た目が整い、掃除機やモップがかけやすくなる
- 足をひっかけてコンセントが抜けるトラブルを防げる
ケーブルクリップ・ケーブルホルダー
デスクの天板や側面に貼り付けて、スマホの充電ケーブルやUSBケーブルの「定位置」を作れるアイテムです。細かいパーツですが、
- ケーブルが床に落ちなくなる
- 必要なときにすぐ手元に持ってこられる
といったメリットがあり、日々の小さなストレスを減らしてくれます。
配線モール・フロアカバー
どうしても床を這わせる必要があるケーブルは、配線モール(ワイヤープロテクター)でカバーしましょう。通路や椅子の動線を横切る部分に設置することで、
- つまずき・転倒の防止
- 椅子のキャスターによるケーブルの潰れ・断線防止
- ケーブルの露出を減らして美観向上
といった効果が期待できます。
無線機器への置き換えも検討する
LANケーブルやUSBケーブルが多すぎる場合は、Wi-Fi対応プリンターやワイヤレスマウス・キーボード、Bluetoothヘッドセットなど、無線化できる機器に置き換えるのも有効です。ただし、
- 安定性が求められる箇所(基幹ネットワーク・固定PC)は有線を優先
- 無線機器の電池・充電管理も考慮する
といった点は事前に検討しておきましょう。
レイアウト変更や移転時に見直したい「配線計画」
床下配線・OAフロアの導入を検討する
オフィスを大きくリニューアルするタイミングであれば、床下配線(OAフロア)の導入も選択肢になります。床下に配線スペースをつくることで、
- ケーブルを露出させず、見た目がスッキリする
- 足元のケーブルにつまずいたり、椅子で踏んで断線するリスクが減る
- 席替えや島の増設など、レイアウト変更への対応がしやすくなる
といったメリットがあります。一方で、初期コストや工期がかかるため、規模や予算にあわせて検討しましょう。
天井裏・壁内の配線ルートを設計する
床だけでなく、天井裏や壁内に配線ルートを設ける方法もあります。照明レールやケーブルラックと組み合わせることで、
- ケーブルと人の動線が重ならない
- 見た目がスッキリし、掃除もしやすい
といった効果が期待できます。こちらは専門業者による工事が必要になるため、移転や大規模改装のタイミングで検討するとスムーズです。
ネットワーク機器・サーバーラック周りのルールづくり
オフィスの要になるネットワーク機器まわりこそ、配線ルールの徹底が重要です。
- ラック内で使うケーブルの長さ・色をできるだけ統一する
- ポート番号と行き先をラベルで明記する
- 「誰でも触れる場所」ではなく、鍵付きラックや専用スペースにまとめる
こうしたルールを決めておくと、トラブルが発生した際の原因切り分けが圧倒的に楽になります。
配線整理を継続するための仕組みづくり
社内ルールとチェックリストの整備
一度きれいにしても、日々の運用でまたすぐに元通り──というのはよくある話です。配線整理を継続するために、次のようなルールを決めておきましょう。
- 新しい機器を導入するときは、必ずラベルを貼る
- 延長コード・電源タップは指定の場所からのみ持ち出す
- 半年〜1年に一度、配線チェックの日を設ける
チェックリストを作成し、総務部門や情報システム担当が中心となって点検すると、配線トラブルを未然に防ぎやすくなります。
写真と簡易配線図で「見える化」する
配線の状態を写真や簡単な図で残しておくと、担当者が変わっても情報を引き継ぎやすくなります。
- 島ごとに、デスク裏と床下の配線写真を保管しておく
- どのコンセント・どのタップに、どの機器がつながっているかを図式化する
これだけでも、トラブル対応やレイアウト変更時の「調査時間」を大きく短縮できます。
フリーアドレス・テレワーク環境との相性を考える
近年増えているフリーアドレスオフィスやハイブリッドワークでは、ノートPCやモバイルディスプレイ、USB-Cドックなどを活用し、「1本つなげばすべてOK」という配線にしておくと便利です。
- USB-Cハブやドッキングステーションでケーブルを1本に集約
- 電源・ネットワークの差し込み口を席ごとにルール化
- 在宅勤務用の配線ガイドも標準化して共有
オフィスだけでなく、在宅環境の配線も整えることで、社員全体の生産性向上につながります。
まとめ:配線が整ったオフィスは、生産性の高いオフィス
オフィスの配線整理は、「見栄えをよくするための片付け」ではなく、
- 社員の安全を守る
- トラブル対応を早くする
- 生産性とモチベーションを高める
ための、大切な投資です。まずは、足元のケーブルを床から浮かせること、タコ足配線を見直すこと、ラベリングとルールづくりを行うことから始めてみてください。
配線がスッキリしたオフィスは、見た目だけでなく、仕事のスピードや集中力まで変えてくれます。ぜひ、自社のオフィスでも「配線整理プロジェクト」を立ち上げてみてはいかがでしょうか。
