社内にデザイナーがいなくても、ノベルティグッズのデザインは外注と正しい入稿でスムーズに進められます。
初めての方でも「仕様決め→依頼→校正→入稿→納品」まで迷わず進められる実務ガイドです。
外注と自作の判断基準
コスト・納期・品質の三角形で考える
- コスト:制作費(デザイン費+版代)+製造費+配送費
- 納期:デザイン制作(1〜2週間目安)+製造(商品や印刷方式により異なる)+配送
- 品質:解像度・色再現・素材適合・校正方法の選択で決まる
こんなときは外注が最適
- ロゴの厳密なブランド管理が必要(ガイドライン遵守)
- 特色指定・白押さえ・大型面積ベタなど、印刷の難易度が高い
- 短納期で確実に仕上げたい(工程設計とデータ不備ゼロが重要)
CanvaやOfficeで自作できるケース
- 片面単色の名入れや、写真を使わない簡易デザイン
- 印刷所のテンプレートに沿ってサイズ・塗り足し・安全領域が守れる
- PDF出力後に入稿基準へ変換・チェックができる(後述)
失敗しないデザイン外注の進め方
まず決めるべき仕様チェックリスト
- アイテム:トート、ボトル、文具、Tシャツ、タオル、マグ、クリアファイル、ステッカー、アクリル等
- 数量・ロット:目標配布数+予備(破損・検品用)
- 印刷方式:シルク印刷/パッド印刷/UVインクジェット/昇華転写/インクジェット(布)など
- 色数・色指定:DICやPantone、またはCMYK値での近似指定
- データ形式:AI(推奨)/PDF(推奨)/PSD/PNG(用途限定)
- 納期:配布日から逆算し、校正・量産・輸送のバッファを確保
- 梱包・個包装:OPP袋、化粧箱、のし紙、名刺差し込みなど
- 配送:納品先・分納の有無・指定日時・搬入条件
- 予算:単価の上限、デザイン費・版代の扱い、送料の負担
見積依頼メールの例文
件名:ノベルティ(コットントートS)デザイン制作・製造の見積依頼 本文: ・目的:イベント配布 ・数量:500個 ・印刷方式:片面シルク1色(特色DIC◯◯指定) ・入稿:AIまたはPDF/X(入稿基準に準拠) ・納期:◯月◯日会場納品(東京都内・時間指定あり) ・デザイン要件:ロゴ固定、タグライン1行、QRコード ・校正:簡易色校正1回希望 ・梱包:個包装不要、段ボール入数指定あり ・添付:ロゴAI、ブランドカラー値、QRリンク 上記条件で、デザイン費・版代・製造・配送を分けて御見積ください。
スケジュール設計の目安
- ブリーフ〜初稿:3〜5営業日
- 校正〜確定:3〜7営業日(修正回数により変動)
- 量産〜出荷:アイテムにより5〜20営業日
- 配送:1〜3日(分納・会場直送は事前調整)
入稿データの基礎知識
カラーモードはCMYKが原則
RGBで作成したデータは印刷で色が沈むことがあります。最初からCMYKで制作し、特色指定はガイドラインに従います。
画像解像度は実寸300〜350dpi
写真やラスタライズ画像は原寸で300〜350dpiを確保。モノクロや線画は600dpi推奨のケースがあります。
フォントはアウトライン化 またはPDF/Xで安全に
- AI入稿:文字はアウトライン化し、リンク画像の埋め込み/添付を徹底
- PDF入稿:印刷用のPDF/X規格(X-1aやX-4)に準拠
塗り足し・安全領域
- 塗り足し:仕上がり外側に通常3mm
- 安全領域:文字やロゴは仕上がりから3mm以上内側に配置
白押さえが必要な素材
透明素材や濃色素材にフルカラー印刷する場合、下地として白インクを先刷り(白押さえ)すると発色が安定します。透け感を活かす意図であえて白押さえを外す設計も可。
PDFの白い分割線と対処
PDF/X-1aは透明効果が分割され、閲覧時に白い分割線が見えることがあります。表示上のアーティファクトで印刷影響は通常ありません。気になる場合はPDF/X-4対応の入稿方法に切り替えます。
印刷方式の選び方
シルク印刷
- 特徴:版を作り、インクを通して刷る。生地や立体物にも幅広く対応。
- 向き:ベタ面・単色や少色、色ムラを抑えたいロゴ印刷。
パッド印刷
- 特徴:シリコーンパッドで転写。曲面・凹凸のある小物に強い。
- 向き:ボールペン・小型ガジェットなど曲面名入れ。
UVインクジェット
- 特徴:UV光で瞬時に硬化。フルカラー・短納期に強い。
- 注意:大きな湾曲や高低差のある面は不向き。特色の厳密指定は難しい場合あり。
そのほか
- 昇華転写:ポリエステル生地やマグなど。写真向き。
- インクジェット(布):フルカラーの布製品に。
- オフセット(紙):大量・高精細な紙媒体(クリアファイルは別方式)。
方式別の簡易比較表
方式 | 得意 | 苦手 | 色表現 | ロット適性 |
---|---|---|---|---|
シルク印刷 | 単色ベタ・特色厳守 | 多色写真 | 特色◎ | 中〜大 |
パッド印刷 | 曲面小物 | 広い面積 | 単色〜少色 | 小〜中 |
UVインクジェット | フルカラー・短納期 | 大きな曲面・段差 | CMYK中心 | 小〜中 |
昇華転写 | 写真・グラデ | 綿素材 | CMYK中心 | 小〜中 |
依頼前に揃える素材と権利チェック
ロゴ・画像の準備
- ロゴはAI/SVG(アウトライン)推奨。PNGは背景透過必須。
- 写真は原寸350dpi相当(大きく使うならさらに高解像度)。
著作権・商標の確認
- 第三者のロゴ・キャラクター・写真は必ず権利者の許諾を取得。
- フリー素材は商用可・クレジット条件をライセンスで確認。
Canvaデータの活用ポイント
できること・注意点
- Canvaで作成→PDF(印刷)を書き出し、印刷用PDF/X規格へ変換できると安心。
- 絵文字や特殊記号は欠落の恐れ。文字は8pt以上、端から3mm以上内側へ配置。
安全なワークフロー
- Canvaでサイズ・塗り足しをテンプレ通りに設計
- PDF(印刷)で書き出し
- Acrobat ProのプリフライトでPDF/X-1a(またはX-4)へ変換
- 入稿基準の自動チェックを通し、不備があれば修正
よくある質問
デザイン費はどこまで含まれますか
初稿作成・軽微修正・入稿データ化が基本。撮影・イラスト制作・本機校正は別費用になることがあります。
何色まで使えますか
シルク・パッドは色数で費用と難易度が上がります。フルカラーはUVや昇華など方式選択で対応可能です。
色はどこまで再現できますか
紙・布・樹脂など素材と印刷方式により再現域が異なります。特色厳守はシルク印刷、写真はインクジェット/昇華が有利です。
特急対応は可能ですか
在庫・工場稼働・輸送条件により可否が変わります。配布日から逆算し、まずはスケジュール相談を。
コピペで使える入稿チェックリスト
- カラーモードはCMYK/特色指定は明記
- 画像は原寸300〜350dpi、リンク切れなし
- フォントはアウトライン化/PDFはPDF/X
- 塗り足し3mm・安全領域3mmを確保
- 白押さえの有無を指示(透明・濃色素材)
- 仕上がりサイズ・入数・分納・納品先を明記
まとめ 高品質×短納期×適正コストは「事前設計」で決まる
ノベルティ制作は、仕様の言語化と入稿の精度が成否を左右します。デザイン外注をうまく活用し、目的に合った印刷方式とデータ設計で、配布効果の最大化を狙いましょう。
オリジナルグッズ制作の具体的なご相談は、オリジナルグッズ制作.comで承ります。取り扱いアイテムや事例、テンプレートのご案内も可能です。仕様が固まっていなくても大丈夫です。目的・ターゲット・配布シーンだけでもお伝えください。最適解をご提案します。